清水建設が施工する田町タワー、床の不具合は三菱地所設計の指摘で発覚

小山 航

 

日経クロステック/日経アーキテクチュア

 

 

施工不良が原因で竣工が2023年6月末から同年9月末にずれ込むことになった「田町タワー」(旧称はTTMプロジェクト)。オフィスフロアの床の不具合は、設計・監理者の三菱地所設計(東京・千代田)の指摘で発覚したことが、日経クロステックの取材で明らかになった。田町タワーでは、鉄骨柱の鉛直方向のレベル管理が不十分だったことから、オフィスフロアの一部で床レベルが最大40mm高くなっており、施工者の清水建設が是正工事を進めている。

建設中の田町タワー。国道15号に面して立つ。構造種別は、地上部分が鉄骨造(一部鉄骨鉄筋コンクリート造)で、地下部分は鉄骨鉄筋コンクリート造だ。2023年6月26日撮影(写真:日経クロステック)

建設中の田町タワー。国道15号に面して立つ。構造種別は、地上部分が鉄骨造(一部鉄骨鉄筋コンクリート造)で、地下部分は鉄骨鉄筋コンクリート造だ。2023年6月26日撮影(写真:日経クロステック)

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 田町タワーは、延べ面積11万2500m2の複合ビルだ。地下2階・地上29階建てで、高さ約156mになる。事業主は三菱重工業グループの田町ビル(東京・港)の他、徳栄商事(東京・港)、三菱重工業の3社で、主な用途は事務所や飲食店舗、診療所、スポーツジムなど。オフィスフロアは6階から28階で、基準階は1フロア約2615m2だ。

 当初は23年5月末の竣工を予定していたが、一部の資材の搬入が遅れた影響で竣工時期を23年6月末に変更。さらにオフィスフロアの一部でOAフロアを施工できないトラブルが発生し、竣工時期は同年9月末に変更となった。

 事業主である三菱重工業広報部広報グループは日経クロステックの取材に対し、「完成の遅れは残念だ。入居予定のテナントに迷惑をかけているため、納得して入居してもらえるよう説明する予定だ」とする。田町ビル人事総務部の中島隆部長は、「事業主3社で連携して、テナントへの説明を尽くす」と回答した。

 不具合はどのような経緯で発覚したのか。清水建設によると、設計・監理者である三菱地所設計の社員が23年4月下旬、高層階で施工中だったOAフロアの高さに疑問を持ち、清水建設に調査を指示。同社が確認したところ、一部で床レベルが高くなっており、所定のOAフロアを敷き込めなくなることが判明した。

 レベル差の是正について、清水建設は特注のOAフロア製品で対応する。是正工事は23年9月初旬に完了する見込みで、9月末に事業主へ引き渡す予定だ。是正工事や補償にかかる費用について同社は、「金額が確定していないため、回答は控える」とした

 

 

清水建設が施工する田町タワー、床の不具合は三菱地所設計の指摘で発覚 | 日経クロステック(xTECH) (nikkei.com)