習近平の大誤算!もはや「デフレ」か「クラッシュ」しかないのか?いま明らかになる「中国経済のアキレス腱」…そのあまりにヤバすぎる正体
中国を襲う「デフレ」の予兆
満身創痍の中国経済は、大きな危機に瀕している。 前編記事『習近平よ、それは「福島処理水」のせいではない! 責任を日本に転嫁する中国政府の無策ぶり…その「ヤバすぎる深層」』で紹介したように、中国政府は「東京電力福島第1原子力発電所の処理水放出」をスケープゴート(身代わりの生け贄)にして、中間層の政府への怒りを日本に押し付けようとしているが、そんな悠長なことをしている場合なのだろうか。
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野村総合研究所のチーフエコノミストであるリチャード・クー氏は6月下旬「中国は『バランスシート不況』に陥りつつある」と指摘した。もしそうなれば、マクロ経済全体が需要不足となり、長期のデフレに陥ってしまうのだ。
クー氏は「中国政府関係者は既にバランスシート不況について論じており、日本のような失敗は繰り返さない」と楽観的だったが、問題を把握していても実行力が伴わなければ問題は解決できない。
中国・地方政府の財政は火の車
中国政府が積極的な経済対策を実施できないのにはわけがある。従来の大型経済対策で中心的な役割を演じてきた地方政府の財政が「火の車」だからだ。 主な歳入源だった土地使用権の売却収入が不動産市場の不調で大幅に減少したことが災いして、地方政府は過剰債務問題に苦しんでいる。地方政府は今や中国経済にとっての足枷になってしまったと言っても過言ではない。 「地方政府が駄目なら、中央政府が主体となって経済対策を実施すべき」との声が出ているが、中央政府は重い腰を上げる気配を示していない。 「習近平国家主席が経済成長よりも国家安全保障やイデオロギーを重視していることから、中央政府はあえて経済対策を実施しようとしない」との指摘があるが、筆者は「中央政府は経済対策を講ずるための財源を捻出できないのではないか」と考えている。
中国に足りない「ドル資産」
中国にはいまドルが足りない…Photo/gettyimages
中央政府が財政規模を拡大するためには人民元の大量発行が不可欠だが、中国は日本や米国のように自国通貨(人民元)を自由に発行できない事情があるようだ。 このことを論じてきたのは産経新聞特別記者の田村秀男氏だ。 中国人民銀行(中央銀行)の資金発行(マネタリーベース)の伸びと中国の外貨準備の伸びの間に強い相関関係があることに気づいた田村氏は「中国の通貨金融制度は実質的には『米ドル本位制』だ」と主張する。 これが意味するのは、外貨準備(ドル資産)が潤沢でなければ、中国政府は人民元を大量発行できないということだ。 リーマン危機が発生した時点のドル資産は人民元発行残高の1.3倍に達していたが、その後、減少し始め、2015年にその比率は1を割り込んでしまった。 2018年以降、トランプ政権との間で貿易戦争が勃発したため、その比率はさらに低下している
財政出動で「人民元暴落」という悪夢
習近平はこの苦境にいま何を思うのか…Photo/gettyimages
ウクライナ戦争を契機に中国製品の購入を人民元で行う動きが広がっていることも悩みの種だ。「人民元の国際的な地位が向上している」と言われている反面、これまで貿易で得ていたドルの量が目減りするという深刻な副作用が生じている。 制度上、人民銀行の裁量で人民元を発行できることになっているが、「ドル資産の裏付けなしに人民元を大量発行すれば、人民元の価値が暴落する」と恐れる中央政府は人民元の大量発行を伴う財政出動ができないというわけだ。 これが正しいとすれば、中国経済がハードランデイングするとのシナリオは一気に現実味を帯びてくる。
「デフレ化が最善策」という絶望…
デフレ化しつつある中国経済の「日本化」が懸念され始めているが、「日本化なら中国にとって最善の結果だ」との指摘が出ている(8月31日付ブルームバーグ)。 経済の低迷が続けば、中国で社会不安が起きるのは時間の問題だろう。中国の地政学リスクを警戒すべき時期に来ているではないだろうか。 さらに連載記事『習近平の大誤算…! 現実味を帯びはじめた「新型コロナ“武漢研究所“流出説」で、トランプが公言する中国への「巨額賠償」、その悲惨な中身』では、中国が直面する新型コロナの流出説の内容を、詳しくお伝えしよう。
藤 和彦(経済産業研究所コンサルティングフェロー
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