フェルスタッペンは、本当の天才
レッドブルのチームには、
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フェルスタッペンは止められない! 前人未到の10連勝達成。レッドブル1-2でフェラーリの夢打ち砕く|F1イタリアGP決勝
滑川 寛
Max Verstappen, Red Bull Racing RB19, Carlos Sainz, Ferrari SF-23© Zak Mauger / Motorsport Images
F1 2023年シーズンのヨーロッパラウンドを締めくくるF1第15戦イタリアGPの決勝レースが行なわれ、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)が優勝した。
舞台は伝統のモンツァ。ストレートスピードが物を言うカレンダー屈指のパワーサーキットだ。
今回のイタリアGPは週末を通して天候に恵まれ、決勝が行なわれた日曜日も青空がサーキット上空に広がった。レーススタート前のコンディションは気温29度、路面温度43度だった。
多くのマシンがスタートタイヤにミディアムタイヤを選択。8番手のルイス・ハミルトン(メルセデス)を含む数台がハードタイヤを選んだ。
フェラーリの熱狂的ファン“ティフォシ”が見つめる中、現地15時にフォーメーションラップがスタートしたものの、11番手スタートの角田裕毅(アルファタウリ)にマシントラブルが発生。最終アルボレート(旧パラボリカ)を前にマシンを止めることとなった。
残る19台は追加フォーメーションラップを走ったものの、角田のマシン撤去に時間を要したことでスタートがアボートとなった。
予定から20分遅れで三度フォーメーションラップが開始。53周のレースは2周減算され、51周の決勝レースがスタートした。
好スタートを決めたのはポールシッターのカルロス・サインツJr.(フェラーリ)。フロントロウスタートのフェルスタッペンを抑えて首位でオープニングラップを回った。後方もクリーンなスタートとなった。
3周目にDRSが使用可能になると、フェルスタッペンはサインツJr.に接近。6周目のターン1でアウトから一度フェルスタッペンが前を伺うも、ここはサインツJr.が攻撃をはねのけた。
フェラーリに対して攻め手を欠くフェルスタッペンに、レッドブルはエンジンモードの変更を指示。サインツJr.はフェルスタッペンに対して必死の抵抗を繰り広げるも15周目のターン1で痛恨のロックアップ……シケインの立ち上がりからサイド・バイ・サイドで粘るも、首位陥落となった。
トップに立ったフェルスタッペンはペースアップ。サインツJr.は「タイヤが終わった」とチームに告げ、19周目終わりにピットインしてハードタイヤに交換。首位フェルスタッペンはその翌周にピットへ入った。
28周時点で首位はフェルスタッペン。5.5秒差でサインツJr.が2番手となったが、その後も1周0.2〜0.4秒ずつ離されていった。
サインツJr.の後ろにはチームメイトのシャルル・ルクレール、セルジオ・ペレス(レッドブル)の2台がDRS圏内で続いた。ピットストップ後、ルクレールはサインツJr.に接近していたものの、次第にペレスに対して防戦を強いられる形に。ターン1でしのぎ続けるも、ペレスが32周目のホームストレートで先行した。ただ、4番手に落ちたルクレールはペレスから離されることなく続いた。
そこから後ろに目を移すと、5番手を単独でジョージ・ラッセル(メルセデス)が走行。アレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)がストレートスピードの速さを活かしてマクラーレン勢の行く手を塞ぎ、6番手を守り続けた。
大方のドライバーと異なるタイヤ戦略を取ったハミルトンは、8番手のオスカー・ピアストリ(マクラーレン)に接近。ハミルトンは42周目に抜きにかかるも、ターン4へのブレーキングで右リヤタイヤがピアストリの左リヤタイヤに接触。この接触でフロントウイングを破損したピアストリは緊急ピットインし、大きくポジションを落とした。
ハミルトンはこの後ランド・ノリス(マクラーレン)とアルボンを交わしたものの、ピアストリとの接触により5秒のタイム加算ペナルティが科された。
2番手争いに視線を戻すと、サインツJr.対ペレスのバトルが白熱。サインツJr.はターン1〜2のシケインでペレスの走行ラインを潰してディフェンスを続けた。
ペレスはその走りに不満を漏らしたが、ルクレールを攻略した時と同様に46周目のホームストレートで2番手にポジションを上げた。
フェルスタッペンは首位に立ってからは無風状態。ペレスに7秒の差を築いてファイナルラップを周り、そのままトップチェッカーを受けた。これでフェルスタッペンは前人未到の10連勝を達成。今季の勝利数を12にした。
レッドブルとしても、昨年の最終戦アブダビGPから15連勝。新記録をフェルスタッペンとペレスの1-2という形で打ち立てた。
3位はサインツJr.。ペレスに交わされて以降、ルクレールから激しいプレッシャーに晒されるも表彰台の座を守りきった。ルクレールは4位フィニッシュだった。
メルセデスのふたりは他車との接触によりタイムペナルティが科されていたものの、5〜6位で変わらず。アルボンが7位、ノリスが8位、フェルナンド・アロンソ(アストンマーチン)が9位に入り、10位の1ポイントをバルテリ・ボッタス(アルファロメオ)が掴んだ。
これで今季はヨーロッパでのグランプリが終了。ここからシンガポールGP、日本GPとフライアウェイ戦が続くこととなる。