震災後に整備の9m津波避難タワー、国の最大16m想定で避難場所として使えず

読売新聞オンライン

 最大想定は、被災地の復興にも暗い影を落とす。岩手県陸前高田市は震災後、市街地を10メートルかさ上げし、数十~百数十年に一度の津波を想定した防潮堤(高さ12・5メートル)を整備した。しかし、県が昨年公表した最大想定はそれを上回り、浸水域は震災時の13平方キロより広い15平方キロに及んだ。

 人口は震災前より5000人以上減り、かさ上げ地には空き地も目立つ。市の担当者は「対策しても浸水するとなれば、街が空洞化するのでは」と困惑する。

 同県久慈市は16年、高さ約9メートルの津波避難タワーを整備したが、21年に避難場所指定を解除。国が前年公表した日本海溝地震の津波が最大16メートルに達するためだ。市は避難計画を見直し、必要な施設を検討するが、財政状況は厳しさを増す。

 最大想定は、人命を守ることを最優先とするものだ。斎藤徳美・岩手大名誉教授(地域防災学)はその重要性を認めた上で、「自治体が手の打ちようがない想定では、肝心の対策も進まない。国は現実的な想定も考えるべきだ」とバランスを取る必要性を訴える

 

 

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