犯罪事例

大井町駅前公衆便所で犯罪発生、斬新なデザインも防犯に死角

公共トイレ

 

日経クロステック/日経アーキテクチュア設計コンペで200件を超す応募案から選ばれた斬新なデザインの公衆トイレで、わいせつ事件が発生した。発注者と設計者は防犯対策について協議を重ねていた。しかし、犯罪が起こってしまった。

 JR京浜東北線や東急大井町線、りんかい線が乗り入れる大井町駅(東京都品川区)。駅前にある公衆トイレで2021年10月15日の未明、男性が女性をトイレ内に連れ込んでわいせつ行為をする事件が起こった。

 トイレの名称は「大井町駅前公衆便所」。男女共用トイレ6棟を分散配置した、斬新なデザインの建物だ〔写真1〕。車椅子対応やオストメイト対応、着替え台、おむつ交換台、パウダールームなど、棟ごとに機能を分散して配置。どれも手洗いを内蔵した個室完結型だ〔写真2〕。

〔写真1〕駅前に6棟のタワーが立ち並ぶ

〔写真1〕駅前に6棟のタワーが立ち並ぶ

大井町の駅前に立つ斬新なデザインの公衆トイレ。屋根に取り付けた換気チャンバーにより内部を自然換気でき、トップライトからは自然光を取り込めるという。写真でトイレの奥に写るのが、JR京浜東北線のホーム(写真:あかるい建築計画)

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〔写真2〕トイレの機能は各棟で機能を分散している

〔写真2〕トイレの機能は各棟で機能を分散している

6棟ある男女共用トイレはすべて個室内に手洗いがある。その上で、車椅子対応やオストメイト対応、着替え台、おむつ交換台、パウダールームなど、棟ごとに機能を分散して配置した。上がパウダールーム、下がおむつ交換台のあるトイレだ(写真:日経アーキテクチュア)

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 品川区防災まちづくり部公園課課長の高梨智之氏は、「寝耳に水だった」と事件当時を振り返る。高梨氏が20年に公園課へ着任して以降、区の公衆トイレで起こった初の事件だった。大井町駅周辺は高層のホテルや駅ビルが立ち並び、飲食店や住宅も多く夜間も人通りが多い〔写真3〕。JR大井町駅のホームは終電後も照明を点灯しており、夜は明るい。徒歩約1分の距離には交番もある。こんな場所で事件は起こった。警視庁はどの棟で犯罪が起こったのか公表していないが、区は線路側に出入り口のある個室とみている。

〔写真3〕夜間も人通りが多くJRのホームは終電後も照明が点灯

〔写真3〕夜間も人通りが多くJRのホームは終電後も照明が点灯

大井町駅の周辺は夜間も人通りが多い。写真中央の奥側に見えるJR京浜東北線のプラットホームは終電後も照明が点灯しており、夜間も明るい(写真:あかるい建築計画

 

 

 

 

大井町駅前公衆便所で犯罪発生、斬新なデザインも防犯に死角 | 日経クロステック(xTECH) (nikkei.com)