新型ミサイルの共同開発で合意 抑止力強化狙う 日米首脳会談
米国を訪問中の岸田文雄首相は18日(日本時間同)、ワシントン郊外の大統領山荘キャンプデービッドでバイデン大統領と会談した。両氏は北朝鮮や中国、ロシアが開発を進める極超音速兵器を迎撃するための新型ミサイルを共同開発する方針で合意した。迎撃困難とされる極超音速兵器への対処能力を向上させ、日米両国の抑止力強化を狙う。
両首脳は日米韓首脳会談に先立ち、約30分間会談した。首相は「日米韓首脳会談の開催は極めて有意義だ」と強調。バイデン氏も「安全保障環境が一層厳しさを増す中で日米、日米韓の協力を深めていきたい」と応じた。 日米が迎撃ミサイルを共同開発するのは、2006年から共同開発を始めた「SM3ブロック2A」以来、2例目。極超音速ミサイルはマッハ5(音速の5倍)以上で飛行し、レーダー探知や迎撃が難しいとされる。日米間では23年1月の外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)で「将来的な共同開発の可能性について議論を開始する」としており、今回の首脳会談で正式な合意に至った。 日本の防衛省は会談後、共同開発について、ロケットモーターや、標的の探知・追尾を行うシーカーといった主要技術で日米が強みを持ち寄り協力すると発表した。相次ぐミサイル発射や極超音速兵器の開発の進展によって「我が国へのミサイル攻撃が現実の脅威となっている」と指摘。日米両国にとって「極超音速兵器に対する更なる迎撃能力の強化は喫緊の必要性がある」と強調した。 会談では、覇権主義的な行動を強める中国に対し、日米で緊密に連携して対応することで一致。一方、中国との間で共通する課題では協力していくことの重要性も確認した。台湾海峡の平和と安定の重要性を強調し、両岸問題の平和的解決を促した。 また首相は、東京電力福島第1原発の処理水について月内にも海洋放出を始める日本政府の方針について、米国側が支持と理解を表明していることに謝意を述べ、処理水に関する偽情報の拡散防止における連携についても意見を交わした。 首相は米ハワイ州マウイ島で発生した大規模な山火事被害についてお見舞いの言葉を述べた。首相とバイデン氏の会談は23年5月の主要7カ国首脳会議(G7広島サミット)の際に実施して以来。
【キャンプデービッド小田中大
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