熱波続く米 27日連続で43度超えも 大統領が労働者保護を指示
猛暑対策のための水などを準備するボランティアの人たち=米西部アリゾナ州フェニックスで2023年7月20日、AP
米国で南部や西部を中心に記録的な熱波が続いている。
西部アリゾナ州フェニックスでは、
27日連続で日中の最高気温が43・3度を超えた。
バイデン米大統領は27日、気候変動は人類にとって
「存亡に関わる脅威」だとし
、屋外で働く労働者を保護するため、
労働省に対して危険警報を発令するよう初めて指示した。
米本土の熱波は中西部や北東部にも拡大し、
27日には全人口の半数に相当する1億7000万人が暮らす地域に暑さに関する注意報や警報が出された。
南部フロリダ州では24日、
国立公園に設置された水温計で海水温が38・4度を記録した。
一般的な日本の風呂の温度に近く、
米海洋大気局(NOAA)によれば、
この時期の同海域での平年の海水温は23~31度で、
海洋生態系への影響が危惧される。
複数の米メディアによると、
アリゾナ州では日光で高温になったアスファルトに触れてやけどを負った人が相次いで救急搬送されているという。
バイデン氏の指示を受け、
労働省は農業や建設業など暑さによるリスクの高い労働現場で、
水分補給や休憩の確保などの安全対策がとられているか検査を強化する。
バイデン氏は27日の演説で、
水を飲む休憩も許されない労働環境は「言語道断」だとした。
ホワイトハウスによると、2011年以降で400人以上の労働者が勤務中に暑さが原因で死亡し、毎年数千人が入院する。
米国では気象関連死のうち、
最も多い原因は暑さによるもので、
洪水やハリケーン、竜巻などによる死者の合計を
上回る。
バイデン氏は
「酷暑に慣れている地域でも、今ほどの暑さを経験したことはなかった」と言及。
豪雨による洪水や山火事などの被害が広がっていることに触れながら
「もはや誰も気候変動の影響を否定することはできない」と語った。
バイデン政権は、
暑さから地域社会を守るためとして、
干ばつが続く西部カリフォルニア州や
コロラド州などで
貯水施設などの水インフラ整備に1億5200万ドル(約212億円)、
異常気象をより精度よく予測するための研究開発などに700万ドルを
新たに拠出する。
世界気象機関(WMO)によれば、
今月の世界の平均気温は観測史上最も高くなる見通し。
国連のグテレス事務総長は27日の記者会見で
「地球温暖化の時代は終わり、地球沸騰の時代が到来した」と述べた。
各地の記録的な高温について
「予測や繰り返された警告と完全に一致している。唯一の驚きは、変化のスピードだ」と述べ、早急に化石燃料から脱却する必要があると訴えた。
【ニューヨーク八田浩輔
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