虎ノ門ヒルズ ステーションタワー」が23年10月6日開業、東京初のOMAデザイン

川又 英紀
 

日経クロステック

森ビルは2023年7月20日、東京都港区で建設している大型複合施設「虎ノ門ヒルズ ステーションタワー」が同年10月6日に開業すると発表した。ステーションタワーは同年7月14日に竣工している。建築デザインを手掛けたOMAにとっては、東京初の大規模プロジェクトが完成することになる。

「虎ノ門ヒルズ ステーションタワー」の外観(写真:森ビル)

「虎ノ門ヒルズ ステーションタワー」の外観(写真:森ビル)

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 ステーションタワーは虎ノ門ヒルズの4棟目となる超高層ビルだ。同タワーが開業することで、森ビルが社運を賭けて実行してきた虎ノ門エリアの大規模再開発が完成する。

虎ノ門ヒルズの全景(出所:虎ノ門一・二丁目地区市街地再開発組合)

虎ノ門ヒルズの全景(出所:虎ノ門一・二丁目地区市街地再開発組合)

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 ステーションタワーは地下4階・地上49階建てで、高さが約266mの超高層タワーだ。外観はねじれたフォルムが特徴である。方角によって、タワーの見え方が劇的に変わる。

ステーションタワーはねじれたフォルムが特徴で、見る角度によって全く異なる表情を見せる(写真:日経クロステック)

ステーションタワーはねじれたフォルムが特徴で、見る角度によって全く異なる表情を見せる(写真:日経クロステック)

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 延べ面積は約25万m2。オフィスや商業施設に加えて、東京初進出となる米ハイアット系のホテル「ホテル虎ノ門ヒルズ:アンバウンド コレクション by Hyatt」(客室数は205室)などが入る。ホテルのインテリアデザインは、デンマークのスペース・コペンハーゲン(Space Copenhagen)が日本で初めて手掛ける。地上1階および11~14階に入居するホテル虎ノ門ヒルズは、23年11月にオープンする予定だ。

ステーションタワーのフロア構成(出所:森ビル)

ステーションタワーのフロア構成(出所:森ビル)

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 さらに最上部の45~49階(一部8階)には、ホールやギャラリー、レストランなどを有する、約1万m2の目玉施設「TOKYO NODE」を開設。東京から世界へのビジネスやアート、テクノロジー、エンターテインメント、そしてイノベーションの情報発信拠点と位置付ける。地上250mの高さにあるルーフトップには、屋上プールまである。超高層ビルの屋上に重量があり水を扱うプールを配置すること自体、建築としては大きなチャレンジになる。

最上部に設ける情報発信施設「TOKYO NODE」の構成。ホールやギャラリー、レストラン、プールなどがある(出所:森ビル)

最上部に設ける情報発信施設「TOKYO NODE」の構成。ホールやギャラリー、レストラン、プールなどがある(出所:森ビル)

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 TOKYO NODEの仕掛け人である森ビルの杉山央氏は、「六本木ヒルズは最上部に現代アートを紹介する森美術館を設け、成功を収めた。虎ノ門ヒルズはその先を行くため、自らがつくり手となって情報やコンテンツを発信していく拠点に育てたい」と語る。

TOKYO NODEの仕掛け人である森ビルの杉山央氏(写真:日経クロステック)

TOKYO NODEの仕掛け人である森ビルの杉山央氏(写真:日経クロステック)

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 注目の屋上プールについては、「建築デザインを依頼したOMAのパートナーでニューヨーク事務所代表である重松象平氏と何度も議論し、単なる水盤ではなく、空を望む本物のインフィニティープールにした。利用形態はこれから詰めるが、森ビルが運営主体となるレストランの隣にあるので、フロア貸し切りのイベントなどにレストランとプールをセットにして提供するといったことを検討している」と、杉山氏はプランの1つを明かす。新製品の発表会やファッションショーなどは分かりやすい例で、まさに世界に向けた情報発信の場となる。

地上250mのルーフトップに設けるインフィニティープール。両側はレストラン(出所:森ビル)

地上250mのルーフトップに設けるインフィニティープール。両側はレストラン(出所:森ビル)

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 TOKYO NODEではステーションタワーの開業に合わせ、23年10月6~29日には真鍋大度氏と石橋素氏が主宰するライゾマティクスと演出振付家のMIKIKO氏による体験型のダンスパフォーマンス作品「TOKYO NODE 開館記念企画 "Syn:身体感覚の新たな地平" by Rhizomatiks × ELEVENPLAY」を45階にある3つのギャラリーを使って開催。グローバルなイノベーション発信拠点としてのイメージを確立するため、斬新な新作公演でスタートを切る計画だ。技術トレンドを意識し、話題の「生成AI(人工知能)」などを作品に取り込みたいという。このようにTOKYO NODEは、「アーティストが作品やアイデアを発表していける場にもしていく」(杉山氏)。

TOKYO NODEの開館記念企画公演は、ライゾマティクスと演出振付家のMIKIKO氏による新作のダンスパフォーマンス「"Syn:身体感覚の新たな地平" by Rhizomatiks × ELEVENPLAY」に決定(出所:森ビル)

TOKYO NODEの開館記念企画公演は、ライゾマティクスと演出振付家のMIKIKO氏による新作のダンスパフォーマンス「"Syn:身体感覚の新たな地平" by Rhizomatiks × ELEVENPLAY」に決定(出所:森ビル)

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 オフィスは9~10階および15~44階で、総貸室面積は約10万7000m2。基準階面積は約3400m2。建物のコア部分から窓面までの距離は約18.5mと広く、開放的な無柱空間となる。イノベーション拠点らしく、入居者同士の交流を促す仕掛けとして「マグネットゾーン」を設ける。

オフィス入居者の出会いの場となる「マグネットゾーン」のイメージ(出所:森ビル)

オフィス入居者の出会いの場となる「マグネットゾーン」のイメージ(出所:森ビル)

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