F1分析|ハンガリーGP圧勝フェルスタッペン。2位との差は33秒……でもこれでもまだ余裕残しなんじゃない?
F1ハンガリーGPの決勝レースでは、レッドブルのマックス・フェルスタッペンが優勝。フェルスタッペンはこれで今季9勝目、マイアミGPから7連勝を記録したということになった。まさに圧倒的な強さである。
【グラフ】F1ハンガリーGP決勝のレースペース推移:トップ6
今回のグランプリでフェルスタッペンは、ポールポジションをルイス・ハミルトン(メルセデス)に奪われることになったが、スタート直後に今季の”指定席”を奪い返すと、その後は危なげない走り。ピットストップのタイミングでも一度も首位を明け渡すことのない、まさに完勝劇だった。最終的に、2位ランド・ノリス(マクラーレン)につけた差は、33秒だった。 レース中のペース推移をグラフ化すると、そのフェルスタッペンの強さが実によく分かる。
しかも、本来ならばもっと差をつけて勝つことができたという”証”も見えた。
スタート直後に首位に立ったフェルスタッペンだったが、その後の数周は、マクラーレンのオスカー・ピアストリが背後にピタリと食らいつき、差を開かせなかった。
しかし7周目頃から2台の差が開き始める。1周につき、0.3~0.5秒ほどフェルスタッペンの方が速く、15周を走り終えたところでの2台の差は、7秒までになった。
グラフを見ると、当時のピアストリのペースは、走れば走るほど低下していっていた。つまり、タイヤのデグラデーション(性能劣化)が激しかったということを意味する。一方でフェルスタッペンは、走れば走るほどペースが上がる状況。マクラーレンやメルセデス、さらにはフェラーリらがピットインしても、フェルスタッペンは反応せずにスタート時に履いたタイヤで走行を続けた。
結局フェルスタッペンは、ライバルよりも5~6周ほど最初のピットストップを先送りにした。しかし本来ならば、もっと先送りにしたとしてもレースに勝てただろう。
先にタイヤを交換したマクラーレン勢は、確かにフェルスタッペンよりも速いペースで走ったが、それ以外のマシンは新しいタイヤに履き替えても、フェルスタッペンのペースを上回ることができなかったのだ。
しかも、マクラーレンはデグラデーションに苦しんでいたため、すぐにまたフェルスタッペンのペースの方が速くなったはずだ。フェルスタッペンに、不安要素はまったくなかった。
それでも、セーフティカー出動など予想外の出来事に対応すべく、フェルスタッペンは24周を走ったところでピットイン。ハードタイヤでも、他車を完全に圧倒した。
そして特筆すべきは、
2回目のピットストップを終えた直後のラップタイムである。
この2回目のピットストップも、フェルスタッペンはライバルよりも遅いタイミングだったが、交換した直後、
フェルスタッペンは一気に1分20秒504というラップタイムを記録している。
ハミルトンが1周後に自身のレース中のベストタイムを記録しているが、それでも1分21秒6が限界。フェラーリ勢は1分22秒台後半、マクラーレン勢は1分23秒台前半がやっとという段階だった。
つまり、フェルスタッペンは他よりも秒単位で速かったわけだ。
その後フェルスタッペンは、一気にペースダウン。
これはタイヤが音を上げたわけではなく、
十分に後続と差が開いたがゆえにマシンを労わる”クールダウン走行”に入ったということだろう。
それでも全車中もっとも速いラップタイムを積み重ね、
チェッカーまで駆け抜けた。
前述の通り、
フェルスタッペンと2位ノリスの最後の差は、33秒。
ただ、フェルスタッペンがクールダウンせずに飛ばしていれば、最終的には50秒以上の大差まで広がっていた可能性すらある。 予選ではポールポジション獲得を逃し、その強さに翳りが見えたかのように思えたフェルスタッペン。しかし今後もその強さは続いていきそうな予感だ。
今回の勝利で、レッドブルは開幕11連勝。
1988年のマクラーレン・ホンダが持つ、
開幕からの連勝記録に並んだ。
また、フェルスタッペンもこれで7連勝を達成し、
アルベルト・アスカリと
セバスチャン・ベッテルが
持つ個人の最多連勝記録である9連勝にあと2と迫っている。
ハンガリーGPの強さを見るに、
フェルスタッペンが負けるシーンというのは想像するのが難しい。
今季は、今後も様々な新記録が樹立される、そんなシーズンになるかもしれない
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