ロバート・キャンベルさん 戦禍のウクライナ訪れ証言集出版へ

毎日新聞

ウクライナで戦禍から避難した人々の証言集「戦争語彙(ごい)集」の翻訳に取り組んでいるロバート・キャンベルさん=東京都杉並区で2023年6月21日午後4時20分、金森崇之撮影

 

 

 

 

 日本文学研究者のロバート・キャンベルさんが6月、ウクライナを訪問し、戦禍を生きる避難者や現地の大学生らと交流した。帰国後、ウクライナ語でまとめられた避難者証言集の日本語訳に取り組んでおり、「ウクライナの人たちは、戦争と平和の境目がないまま暮らしています。人々の小さな声に耳を傾けてほしい」と話している。

 

【金森崇之】 

 

 

 

【教会に飾られていた砲弾の破片】  

 

 

キャンベルさんは、6月上旬にポーランドから鉄路でウクライナに入り、西部の街リビウに到着した。  約2週間の滞在中、避難者が暮らす仮設住宅や動物の保護施設などを訪問。多数の民間人が虐殺された首都キーウ郊外の街ブチャにも足を伸ばし、避難者や道行く人から戦禍の暮らしを聞き取った。  キャンベルさんが見たウクライナの街は、カフェが建ち並び、オペラ劇場が市民でにぎわうなど、一見すると平和だった。  しかし、訪問中に空襲警報が鳴らない日はほとんどなく、安眠できたのはわずか1日だけ。ウクライナ軍がミサイルやドローンを撃墜し、そのうちの一つが食事中のレストランから約3キロしか離れていない場所に落ちたこともあったという。  キャンベルさんは「毎日数回、空襲警報が鳴り、寝ることもできません。人々の心も体も限界でしょう。それでも、誰もが仕事や通学といった日常のタスクをこなしながら、何足ものわらじを履いて激戦地の支援活動も続けていました」と振り返る。  現在翻訳しているのは、ロシアの侵攻開始直後からリビウで避難者を支援してきたウクライナの詩人オスタップ・スリヴィンスキさんがまとめた証言集。キャンベルさんが「戦争語彙(ごい)集」と邦題を付けた。岩波書店から今秋の出版を目指すという

 

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