なぜセルティックvs横浜F・マリノス親善試合のスタンドはガラガラだったのか…今季ワースト観客数を選手はどう受け止めた?

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セルティックを日産スタジアムに迎えての横浜F・マリノスとの国際親善試合のスタンドはガラガラだった。今季ワーストの2万人弱(写真・スポニチ・アフロ)

 

 

 

 

 

 ジャパンツアー中のスコットランド三冠王者セルティックが19日、日産スタジアムでJ1覇者の横浜F・マリノスとの国際親善試合に臨み、4-6で逆転負けを喫した。J1リーグ戦の中断に伴って海外のクラブチームが来日し、J1勢と対戦する国際親善試合シリーズの初戦だったが、公式入場者数は今シーズンの日産スタジアムではワーストの2万263人。ほぼ無人だったバックスタンド2階やセルティック側のゴール裏2階を含めて、空席が目立つ寂しい光景となった。 【画像】三笘薫が代表戦で謎のポーズ

バックスタンドとビジター側の2階席はほぼ無人

 国内最大の入場可能数7万1822人を誇るからこそ、マリノスのホーム、日産スタジアムには余計に寂寥感が漂った。スコットランドの名門セルティックを迎えた国際親善試合。試合が進んでもバックスタンド2階や、ビジター側のゴール裏2階はほぼ無人だった。  ホーム側のゴール裏2階もまばらな状態で、ほぼ埋まっていたのはメインスタンドだけ。後半途中に発表された公式入場者数は2万263人。今月2日の湘南ベルマーレ戦の2万1160人を下回る、今シーズンの日産スタジアムにおける最少人数となった。  話題性は十分にあった。  両チームの対戦が発表された5月9日の時点で、セルティックを率いていたのはマリノスの前指揮官、アンジェ・ポステコグルー監督(57)だった。さらにセルティックには、ともにマリノスから移籍した日本代表FW前田大然(25)とDF岩田智輝(26)が所属していた。  ポステコグルー監督の凱旋は、プレミアリーグのトッテナム・ホットスパー監督就任とともに幻と消えた。それでも前田は契約を4年延長し、岩田も期限付き移籍から完全移籍にスイッチ。27ゴールを叩き出してリーグ得点王に輝き、MVPも獲得した日本代表FW古橋亨梧(28)もセルティックと新たに4年契約を結び、国内三冠を引っさげて意気揚々と来日してくる。  対するマリノスも昨シーズンのJ1を制し、連覇を狙う今シーズンも上位につけている。実力伯仲と見られた対決に、平日のナイトゲーム開催が“影”を落とした。  今シーズンを振り返れば、リーグ戦が9度開催された日産スタジアムはすべて土曜日か日曜日だった。公式入場者数は計25万9952人を、1試合平均は2万8883人をそれぞれ数え、15日の川崎フロンターレ戦では最多の4万2772人を記録している。  しかし、平日のナイトゲーム開催だと数字が激減する。  マリノスもそうした状況を把握していて、平日開催の場合は入場可能数1万5444人のニッパツ三ツ沢球技場を使用する。今シーズンは“金J”として開催された3月3日のサンフレッチェ広島戦が三ツ沢で行われていて、公式入場者数は1万854人だった。水曜日開催のYBCルヴァンカップと天皇杯のそれは、最も多い試合で7077人だった

 

 

 

どのJクラブも平日開催になると集客に苦心していて、もちろんマリノスも例外ではない。思い出されるのは17年前の2006年8月3日の木曜日。当時もセルティックと日産スタジアムで顔を合わせ、公式入場者数は2万7354人だった。  しかもこのときは、マリノスからセリエAのレッジーナを経てセルティックへ移籍したクラブのアイドル、MF中村俊輔が加入1年目で手にした国内冠を引っさげての凱旋だった。しかし、今年以上の注目度をもってしても、入場可能数の40%に届かなかった。  こうした点からも、2万263人を悲観する必要もないかもしれない。  試合後の取材エリア。昨シーズンまでマリノスでプレーしていた岩田に、単刀直入に聞いてみた。もう少し観客が入っているかな、という思いはありましたか、と。岩田は「いえいえ」と否定しながら、選手入場時に募らせた思いを明かしてくれた。 「そういうのはなかったですね。平日のナイトゲームで、こんなにも(多くのファン・サポーターが)来てくださったんだ、すごくありがたいと思いました」  今回はチケットの価格も、ファン・サポーターに二の足を踏ませたはずだ。さまざまな特典がついた最も高額なスペシャルシートが3万円。指定席もメインスタンドのカテゴリー1が1万8500円、バックスタンドのカテゴリー2が1万5000円、さらにゴール裏の自由席が大人で7000円、子どもは半額の3500円で設定されていた。販売されている種類が異なるので直接比較はできないが、J1リーグ戦と比べて全体的に3倍強の価格設定と言っていい。  さらに今シーズンはプレミアリーグとFAカップ、UEFAチャンピオンズリーグの三冠を制したマンチェスター・シティ、ブンデスリーガ1部で11連覇を達成したバイエルン・ミュンヘンがまもなく来日。リーグアン王者のパリ・サンジェルマンやセリエAの名門インテル、FWクリスティアーノ・ロナウド(38)を擁するサウジアラビアのアル・ナスルも続く。  対照的に昨夏に来日したのは、3試合を戦ったパリ・サンジェルマンだけだった。そのなかでアルゼンチン代表リオネル・メッシ、ブラジル代表ネイマール、そしてフランス代表キリアン・エムバペのスーパーFWトリオを目当てに、国内の3会場へトータルで16万4348人もの大観衆が集結。有料で一般公開された練習にも多くのファンが駆けつけた。  なかなか生で見る機会のない著名選手たちが、数多くのサッカーファンを惹きつけた。対照的にセルティックはどうか。所属する5人もの日本人選手の存在を介して知名度は高い。しかし、古橋や前田、MF旗手怜央(25)の森保ジャパン組は国内で行われた6月シリーズで観戦できた。失礼な表現になるが、他の選手たちにそこまでのネームバリューはないだろう。チケット代なども勘案され、今後に来日するチームの観戦を優先させても決して不思議ではない

 

 

 

 

試合は開始4分にマリノスが先制するも、1トップで先発した前田が前半だけでハットトリックを達成。逆転に成功したセルティックが3-2で折り返した。

 

 

しかし、後半は新シーズンへ始動してまだ日が浅く、さらに来日直後で疲れが見え始めたセルティックが失速。

 

 

マリノスが逆転し、

セルティックがメンバーをほぼ総入れ替えしたなかでさらに2点を追加した。  

 

 

最終的には4-6のスコアで敗れた。

 

 

しかし、かつて2シーズン連続でセルティックを国内三冠に導き、

 

レスター・シティ監督を経て4年ぶりに復帰したブレンダン・ロジャーズ新監督(50)は、

 

勝敗よりも開幕が8月5日に迫っている新シーズンへ向けて、

チーム全体のコンディションを合わせる作業に重点を置いたと説明。

 

その上でマリノスを称えた。 

 

 

「個人的な名前を挙げるよりも、チーム全体が素晴らしいと感じた。魅力的な攻撃サッカーであり、システマチックでもある。リーグ戦で好調な理由がよくわかった」

 

 

 

  今後は舞台をパナソニックスタジアム吹田に変えて行われる、

22日のガンバ大阪との国際親善試合で17年ぶりのジャパンツアーを終える。

 

 

価格設定はマリノス戦と同じく高額で、

さらにスペシャルシートより高額な3万5000円のエキサイティングシートも販売されている。

土曜日の開催ながら、

もしかすると日産スタジアムと同じ光景が生まれるかもしれない。 

 

(文責・藤江直人/スポーツライター

 

 

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