イタリア政府、タイヤ大手ピレリの経営権を中国が握るのを阻止
ピーター・ホスキンス、ビジネス記者 イタリア政府は、タイヤメーカー大手「ピレリ」の経営権を中国の国有企業が握るのを阻止した。同社が18日、明らかにした。 ピレリはミラノに本社があり、151年の歴史をもつ。現在、中国政府が管理する化学大手「シノケム」が筆頭株主で、株式の37%を保有している。 イタリア政府は、ピレリの独立性を守ることを目的に、対応策を発表している。今回の動きはその一部。 ピレリは18日、投資家向けの声明で、イタリア政府の決定について説明。同社トップのマルコ・トロンケッティ・プロヴェラ氏が掌握している会社「カムフィン」だけが、ピレリの最高経営責任者の候補者を推薦できることになったとした。 また、ピレリのコーポレート・ガバナンス(企業統治)に関する変更はすべて公的な検討の対象になると、政府が決めたとした。
■戦略的に重要な企業を保護
シノケムは3月、イタリア政府に対し、ピレリの既存の株主間協定を改め、新しくする予定だと伝えた。 イタリアのジョルジア・メローニ政権はこのたび、「ゴールデンパワー手続き」と呼ばれるルールに基づき、協定を審査した。同ルールは、国にとって戦略的に重要な企業を保護するのが目的。 ピレリは2015年、中国企業「ケムチャイナ」やカムフィンを含む投資家グループに71億ユーロ(約1兆円)で売却された。その6年後、ケムチャイナは国有企業シノケムと合併。中国勢としては、政府の投資ファンド「シルクロード基金」もピレリの株式を9%保有している。 中国には18日から2日間の日程で、アメリカのアントニー・ブリンケン国務長官が訪問している。 中国と多くの西側諸国の関係は近年、貿易や台湾、安全保障などをめぐって悪化している。 中国の半導体産業の発展をアメリカが遅らせようとするなど、超大国の米中の間には多くの問題が横たわる。今回のブリンケン氏の訪中で、それらが解決に向けて大きく動く可能性はほとんどないと、関係者らはみている。 (英語記事 Italy blocks Chinese control of tyre giant Pirelli)
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