「坊主丸儲け」は本当か? お寺と税金について

24622viewsby 石谷 彰彦 
 
 
 
春のお彼岸が過ぎましたが、お寺にお墓参りに行かれた方もいらっしゃると思います。

ところで「坊主丸儲け」という言葉は、かなり古くから使われていますが、現在では税金がとられないというイメージから使われていることが多いようです

非課税の特典を受けていることは確かですが、それでも営む事業によっては課税され、税務調査で追徴課税をうけることすらあります。

 

 

 

宗教法人等の非課税

株式会社などの法人は、利益を得て所得が発生した場合、法人税や法人地方税(以下「法人税等」)を納める義務があります。

ただし法人格を持つお寺や神社で、宗教法人として認証をうけた法人の事業に関しては、基本的に非課税になります

これは公益法人、NPO法人、非営利型の一般法人(一般の法人という意味ではなく一般社団法人と一般財団法人の意味)、町内会・PTAなどの任意団体(法人格を持たない団体)においても同様です。

非課税の事業は公益事業と呼ばれます

もっとも宗教法人や公益法人・NPO法人の設立に関しては、株式会社等より手続きが煩雑で厳しいチェックがあります。

収益事業(34事業)は課税される

宗教法人等であっても、下記の34事業を営んだ場合は、法人税等の課税対象となります

1. 物品販売業   18. 代理業      
2. 不動産販売業  19. 仲立業      
3. 金銭貸付業   20. 問屋業      
4. 物品貸付業   21. 鉱業     
5. 不動産貸付業  22. 土石採取業   
その他の飲食店業  23. 浴場業  
6. 製造業     24. 理容業      
7. 通信業     25. 美容業      
8. 運送業     26. 興行業      
9. 倉庫業     27. 遊技所業      
10. 請負業     28. 遊覧所業      
11. 印刷業      29. 医療保健業    
12. 出版業     30. 技芸教授業
13. 写真業     31. 駐車場業
14. 席貸業     32. 信用保証業
15. 旅館業     33. 無体財産の提供業
16. 料理店業    34. 労働者派遣業
17. 周旋業

 

≪参考元:宗教法人の税務(平成28年版)国税庁(P13)≫

 

お寺が駐車場を持っていて代金をもらっていたり「31. 駐車場業」、モノを売っていたり「1. 物品販売業」すれば課税対象になります。

物販については、宗教活動とは関係ないグッズ・お土産や、寺で無くても買える線香・ろうそく等の販売は課税されます。

私の知っているお寺で、インストラクターをお迎えしてヨガ教室をやっているところもありますが、「30. 技芸教授業」として課税対象となると考えられます。

収益事業にかかった経費は、課税対象の収益から差し引いて所得計算することが可能です

また「坊主」個人が(寺からの給与を含めて)所得を得ていれば、これは所得税・住民税の課税対象です。

 

 

宗教法人も税務調査され申告漏れ指摘されることも

前述の駐車場に関する所得や線香の販売に関して、収益事業として申告していなかったために、申告漏れを指摘された宗教法人があります。

この宗教法人は1億円規模の追徴課税を受けることになりました。

また精進料理の材料費は、収益事業にかかるもの(希望する参拝者用)であれば収益事業の経費にできますが、宗教活動に係るもの(法要を受けた参拝者対象)まで入れて経費過大計上となり、申告漏れを指摘された宗教法人もあります。

宗教法人の財産を私的流用し、その分が給与(個人に対して法人からの利益供与)とみなされて源泉所得税(給与天引きの所得税)を追徴課税されたケースもあります

源泉所得税は宗教法人以外の一般企業でも問題になりますが、宗教法人や公益法人など収益事業のみ課税される法人は、源泉所得税を重点的に調査されます。

宗教法人は、収益事業と公益事業を区分して経理・決算を行う必要があるため、丸儲けに見えて結構複雑な事務処理を要求されるのです。(執筆者:石谷 彰彦

1977年生まれ。システム開発会社・税理士事務所に勤務し、税務にとどまらず保険・年金など幅広くマネーの知識を持つ必要性を感じFPの資格を取得。行政非常勤職員や個人投資家としての経験もあり、社会保障・確定申告・個人所得税関係を中心にライティングやソフト開発を行う。近年は個人の金融証券税制に重点的に取り組み、上場株式等課税方式有利選択ツールを公開。お得情報の誤解や無知でかえって損をする、そんな状況を変えていきたいと考えている。 <保有資格>AFP・2級FP技能士・日商簿記2級 

 

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ファイナンシャルフィールド>年収>お寺や神社の年収はどれくらい?儲かるいわれているけど、実は厳しいって本当?

更新日: 2022.02.28 年収

お寺や神社の年収はどれくらい?儲かるいわれているけど、実は厳しいって本当?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

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お寺や神社の年収はどれくらい?儲かるいわれているけど、実は厳しいって本当?

お寺や神社について「僧侶や神主の年収はどれくらいなのか知りたい」「とても儲かってそうだけど実際はどうなの?」など疑問をもっている方も多いのではないでしょうか。
 
日常生活の中で、住職や僧侶、神職や神主の年収や収入源について知る機会は少ないため当然です。
 
ここでは、お寺(住職・僧侶)や神社(神職・神主)の平均年収や主な収入源について解説します。

FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

ファイナンシャルプランナー

目次 [非表示]

お寺(住職・僧侶)や神社(神職・神主)の平均年収

 
厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」によると、神職や宮司、僧侶、住職、司祭、修道者、神主、牧師などを含む「宗教家」の男女別の平均年収は、図表1のとおりです。
 
図表1

  きまって支給する現金給与額(月) 年間賞与その他特別給与額(年) 平均年収
男女計 34万2700円 113万8900円 525万1300円
男性 35万600円 122万1700円 542万8900円
女性 27万3200円 41万100円 368万8500円

※平均年収は「きまって支給する現金給与額×12+年間賞与その他特別給与額」で計算
 
上記のとおり、お寺(住職・僧侶)や神社(神職・神主)の平均年収は男女計で525万1300円、男性は542万8900円、女性は368万8500円です。男性の平均年収は女性の平均年収より約174万円高いです。
 

給与所得者の平均年収

 
国税庁「令和2年分民間給与実態統計調査」によると、給与所得者5245万人の男女別の平均年収は、図表2のとおりです。
 
図表2

  平均給料(年) 平均賞与(年) 平均年収
男女計 368万5000円 64万6000円 433万1000円
男性 449万4000円 82万8000円 532万2000円
女性 253万8000円 38万8000円 292万6000円

 
上記のとおり、給与所得者の平均年収は男女計で433万1000円です。お寺(住職・僧侶)や神社(神職・神主)の平均年収のほうが約92万円高いです。
 
また、主な業種の平均年収は、図表3のようになります。
 
図表3

建設業 509万円
製造業 501万円
運輸業・郵便業 444万円
情報通信業 611万円
電気・ガス・熱供給・水道業 715万円
サービス業 353万円
複合サービス業 452万円
不動産業・物品賃貸業 423万円
宿泊業・飲食サービス業 251万円
金融業・保険業 630万円
医療・福祉 397万円

 
お寺(住職・僧侶)や神社(神職・神主)の平均年収525万1300円は、業種別で見ると比較的高いほうです。
 

お寺や神社の主な収入源

 
お寺(住職・僧侶)はお布施や護持費、神社(神職・神主)は賽銭や御祈祷料、寄付、御朱印・授与品などが主な収入源です。このような収入源から得たお金は、社殿の修繕や建て替え、塀や石畳、手水の整備などの維持管理費、僧侶や神職の給料、活動費などに充てられます。
 
ここでは、お寺や神社の主な収入源について見ていきましょう。
 

お寺の主な収入源

お寺の主な収入源は、お布施と護持費です。
 
お布施は、葬儀や法事で檀家から受け取るものです。お布施は僧侶が行う読経や戒名の対価ではなく、ご本尊を守る寺の維持費や活動費として受け取ります。
 
護持費は、檀家の年会費にあたるもので、寺の維持管理費のために納骨堂やお墓を購入した方から受け取ります。そのため、檀家の数が多いほど収入は多くなる傾向です。
 
このように、お寺の主な収入源はお布施と護持費になります。

 

神社の主な収入源

 
神社の主な収入源は、賽銭や御祈祷料、寄付、御朱印・授与品などです。賽銭では多額の収入を得ることは難しく、御祈祷料は神社にもよりますが5000円程度です。寄付や御朱印・授与品などの収入が多いと言われています。
 

お寺や神社の平均年収は約525万円。格差があるとも言われる

 
厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」によると、僧侶や神職などを含む宗教家の平均年収は525万1300円です。給与所得者の平均年収433万1000円より90万円以上高いです。
 
ただし、一般の会社員や個人事業主同様、「稼げているお寺・神社とあまり稼げていないお寺・神社がある」とも言われています。一部のメディアで、6割超の神社が年収300万円未満と報じられたこともありました。
 
お寺や神社は具体的な収入を公表はしませんが、立地なども影響して収入差があることは考えられます。
 
出典
厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」
国税庁「令和2年分民間給与実態統計調査」
高野山真言宗別格本山 本山寺「お寺の収入はどこからくるの」
 
※2022/2/28 図表の表記の一部に誤りがあったため、修正いたしました。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

 

 

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