筒香は“4Aの選手”で終わる危険も 「キャリアの分かれ目」3人の日本人メジャーリーガー〈dot.〉
昨季はパイレーツなどでプレーした筒香嘉智(ロイター/アフロ)
鈴木誠也(カブス)、筒香嘉智(レンジャーズ)、菊池雄星(ブルージェイズ)の3選手にとって勝負のシーズンが始まった。置かれた立場は各々異なるものの、結果次第では今後の選手生活が大きく変化する年になりそうだ。
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ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の余韻が冷めやらぬ中、MLBも開幕した。日本中を熱狂の渦に巻き込んだ“WBC戦士”では、大会MVPとなった大谷翔平(エンゼルス)は投打に期待通りの活躍を披露し、今季が1年目の吉田正尚(レッドソックス)もセールスポイントの打力を存分に発揮している。 その一方で失意の中で開幕を迎えたのが鈴木だ。本来なら侍ジャパンのメンバーとして世界一の美酒に酔い、気分良くシーズンを迎えるはずだった。だが、大会前の負傷でWBC出場を辞退するなど、メジャー2年目はリハビリからのスタートとなった。 「ケガは本人が一番驚いてショックだったのではないか。広島時代から体は強い選手。過去には激しいプレーの代価として骨折などをしたことはあった。しかしトレーニングやケアを十分にやってきたので、筋肉系の故障をするとは思わなかった」(広島関係者) 現在はチーム傘下の3Aの試合に出場し、復帰へ向け調整を続けている。順調に回復して早期のメジャー復帰への期待も高まっているが、今後へ向けて大事なシーズンなだけに、焦りは禁物だ。 「初めて痛めた箇所だけに慎重になっている。しかし渡米2年目の今季は、絶対に結果を残さないといけない。責任感が強い男なのでかなりの焦りもあるだろう。体と心の両面で大きなストレスを強いられていることが、マイナスに作用しなければ良いのですが……」(在米スポーツライター) 鈴木は2021年シーズンのオフに、5年総額8500万ドル(約112億3000万円)の大型契約でカブスに入団。昨季は111試合に出場し、打率.262(397打数104安打)、14本塁打、46打点、9盗塁と1年目としては及第点となる成績を残した。
2016年に世界一になったカブスだが、チーム再建の真っ最中。鈴木を含め投資を重ねているが、早期の結果(勝利)を求められる。成績を残せない選手への見切りも早いことが予想されるので正念場の1年になる」(MLBアジア地区担当スカウト) また、米国4年目を迎えた筒香はメジャー昇格が第一目標となる。今季はレンジャーズとマイナー契約して、招待選手としてのキャンプ参加からのスタートとなった。 「NPB復帰が予想されていたので、マイナー契約を結んだ際には驚きもあった。契約内容も厳しいものになっていることが予想される。成績を残しても同じ数字であれば、メジャー契約選手の方が優遇されるのは過去の例を見ても明らか。イバラの道が待っている」(在米スポーツライター) メジャー3年目の昨季はパイレーツで50試合に出場し、29安打、2本塁打、19打点と精彩を欠いた。今季はマイナーで開幕を迎え、現在3Aでプレーしているが、米国ではここまで目立った成績を残せておらず、メジャーへの昇格は決して簡単なことではない。 「マイナーでは結果を残せてもメジャーではイマイチという典型的な“4A選手”となってしまった感もある。日本では打力が際立っていたが、パワー、確実性のどちらもMLBでは平均クラス。31歳と年齢も高く、よほどの結果を残さなければ若手が優遇される。メジャー昇格の可能性もゼロではないのですが……」(MLBアジア地区担当スカウト) 一方、投手では菊池がキャンプで好調を維持し、昨年までの評価が変わりつつある。今季初登板となった4月4日のロイヤルズ戦では5回1失点で白星をマーク。続く2試合目の登板では大谷に2ランを浴びるなど、5回途中で6失点を喫したが、チーム内での期待は高い。 「(MLBで結果が残せず一時は)NPB復帰も噂されたが、本人の希望が強かった。元々マイペースというか気持ちが高まるのが遅い。西武時代も高卒即戦力と期待されての入団だったが結果を出すまで時間を要した。ようやく火がついたようでキャンプからここまでは必死さを感じさせる」(在米スポーツライター
3年総額3600万ドル(約47億6000万円)でブルージェイズに加入した昨季は、32試合に登板(うち20試合に先発)して、6勝7敗、防御率5.19。8月中盤以降は中継ぎへ配置転換されるなど、期待を裏切る結果となった。前所属のマリナーズでの3年間では1度も白星が先行したシーズンはなく、獲得に疑念の声が上がったのも確かだ。 「昨年は投球スタイル、配球など試行錯誤の年となった。今季は方向性が定まったのか、課題修正に向けて懸命に取り組んでいた。現状は先発5番手で結果が出なければ他投手と立場は逆転する。判断基準となるクオリティスタート(6イニング以上を投げて自責点3失点以内)を続けるしかない」(MLBアジア地区担当スカウト) WBCで結果を残したことで日本人選手への注目が高まってるが、NPBで大きな存在感を発揮していた鈴木、筒香、菊池の3人が結果を残せないとなると、評価が一変することにもつながりかねない。 「様々な面で3選手が注目を集めているのは確か。今後、MLB側が獲得する際の評価基準になる可能性もある。とはいえ本人たちには他選手のことを気にかける余裕はないはず。米国で成功するという思いを持っているわけだから、結果を残して納得いくまでプレーして欲しい」(MLBアジア地区担当スカウト) 「WBC世界一で野球への関心が高まっている。外国人相手に戦って勝つ姿にロマンを感じている人も多い。時差の関係もありMLB人気は下がりつつあったが、改めて注目され始めている。大谷だけでなく、日本人選手が1人でも多く活躍してくれれば、もっと盛り上がるはず」(在京テレビ局スポーツ担当) NPB時代から各球団の顔で人気も高かった3選手には、野球ファンなら純粋に「頑張って欲しい」という思いを持っている人は多いだろう。大谷、ダルビッシュ有(パドレス)、吉田などWBCで活躍したメンバーに注目が集まるが、米国で必死にプレーする3人の飛躍にも期待したい
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