リニアの大深度シールド機が3台相次ぎ稼働へ、本掘進に向け調査
佐藤 斗夢日経クロステック/日経コンストラクション
各工区の位置(出所:JR東海)
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北品川工区では、深さ約83mのたて坑「北品川非常口」から泥土圧シールド工法で南北両方向に掘り進める。施工者は熊谷組・大豊建設・徳倉建設JV。21年10月に南へ調査掘進を開始したが、4カ月後にマシントラブルが起こり約50m掘進した地点で停止した。
北品川工区のシールド機(写真:JR東海)
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試掘の概要。自社用地内を数メートル試掘する(出所:JR東海)
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点検の結果、カッターヘッド中心部前面にある添加材の吐出口に注入管を固定するゴムシールが破損し、注入設備が機能していないことが分かった。掘進速度を上げた際に、手動での添加材の増量が不足し、掘削土が吐出口周辺に付着して摩擦熱が発生。高温となったゴムシールに添加材の注入圧が加わって破損したとみられる。
シールド機の正面図と断面図。赤丸の箇所で故障が判明した(出所:JR東海)
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シールド機内部から高圧噴射ノズルをカッターヘッド前面に伸ばせるようにして、付着した土を取り除いた。また、掘進速度に合わせて添加材の注入量を自動調節する機械を搭載。注入設備の修繕と改修は、23年2月までに完了した。
高圧噴射ノズルの装着イメージ。カッターヘッドの付着土を取り除く(出所:JR東海)
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JR東海の広報担当者は、「カッターヘッドに土が付着しても、迅速に対応できるようになった。自動調節機械を搭載したことで、注入設備の故障を招いた問題も解決済みだ」と説明する。
他の工区では、北品川工区でのトラブルを受け、掘進開始直後から自動調節機械を使用できるようにする。たて坑の外に置いた自動調節機械から、添加材を送る管を延ばして坑内のシールド機に接続する。
北品川工区では試掘の検証結果を踏まえ、23年6月ごろまでに調査掘進を再開する予定だ。本掘進の開始時期は未定
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