JR東初の木造商業ビル、木柱と鉄骨梁のハイブリッドフレームで国立駅前に4階建て
川又 英紀
日経クロステック
JR中央線コミュニティデザイン(東京都小金井市)と大林組は2023年3月7日、
JR東日本グループで初めてとなる木造の
商業ビル「nonowa国立SOUTH(仮称)」
を24年春に開業する予定だと発表した。
23年3月中旬に着工する。
事業者はJR中央線コミュニティデザイン、
設計・施工は大林組が手掛ける。
JR東日本グループ初の木造商業ビル「nonowa国立SOUTH(仮称)」のイメージ(出所:JR中央線コミュニティデザイン、大林組)
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計画地は、JR中央線の国立駅南口の駅前広場に隣接する好立地だ。
敷地面積は約840m2、
延べ面積は約2450m2(面積はいずれも既存の「nonowa国立WEST」を除く)。
階数は地上4階建てで、
構造は木造、
一部鉄骨造とする。
店舗や飲食店などが入居する。
計画地はJR国立駅前(出所:JR中央線コミュニティデザイン、大林組)
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国立駅南口駅前広場の全景イメージ。緑豊かな国立の駅前に中高層木造ビルを建てて、脱炭素をアピール(出所:JR中央線コミュニティデザイン、大林組)
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nonowa国立SOUTHは構造材から仕上げ材まで、建物の各所に木材を使用する。
こうして試算上、約150tの二酸化炭素(CO2)を固定する。
1haのスギ人工林が吸収するCO2量、17年分に相当するという。
内装の仕上げなどには、
多摩産材を使用。
地域経済の活性化にも貢献する。
公開されたパースを見ると、
ガラス張りの建物で木柱が目立つ。
建物は防火地域に位置し、
耐火要件が厳しい。
構造は木柱と鉄骨梁(はり)を剛接合したハイブリッド木構造のラーメン架構とする。
nonowa国立SOUTHの構造フレーム(出所:JR中央線コミュニティデザイン、大林組
木造の耐火建築物実現にさまざまな工夫
もう少し詳しく見ていくと、木柱には大林組の「オメガウッド(耐火)」を使う。オメガウッドは採用実績がだいぶ増えてきた。
鉄骨梁は、耐火被覆に集成材を使って1時間耐火認定を取得した木質ハイブリッド集成材梁を用いる。木質ハイブリッド集成材は、日本集成材工業協同組合が製造・販売するものを利用する。梁の表面が木質になるので、建物は柱だけでなく梁も木材のように見える仕上げになる。
1時間耐火認定の木質ハイブリッド集成材梁(出所:JR中央線コミュニティデザイン、大林組)
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木柱と鉄骨梁の接合部(仕口)には、プレキャストSRC(鉄骨鉄筋コンクリート)造を採用。熱の伝搬を抑止する。木柱との接合には無機グラウト材(高強度モルタル)も採用する。
木柱と鉄骨梁の接合部には、プレキャストSRC(鉄骨鉄筋コンクリート)造を採用(出所:JR中央線コミュニティデザイン、大林組)
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さらに、1階の木柱の柱脚部は、地盤面から約1mの高さまで鉄筋コンクリート造とする。こうして木柱部の応力を低減し、かつ防腐や防蟻(ぼうぎ)に対応する。
こうした技術が認められ、22年11月には国土交通省から「令和4年度サステナブル建築物等先導事業(木造先導型)」に採択されている。補助金は1億9223万5000円の予定だ
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