ウクライナ各地に大規模ミサイル攻撃、死傷者も ザポリッジャ原発は電源喪失

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ウクライナ各地に大規模ミサイル攻撃、死傷者も ザポリッジャ原発は電源喪失

 

 

 

 

 

 

ウクライナの広い範囲で9日、ロシアによる大規模なミサイル攻撃があり、

少なくとも9人が死亡した。

 

80発以上が撃ち込まれた様子で、

首都キーウへの攻撃も報告されている。

 

ロシアが支配する南部のザポリッジャ原子力発電所では電力供給が失われたとみられている。 

 

 

ミサイル攻撃は、

 

北東部ハルキウから

 

南部オデーサ、

 

西部ジトーミルまで

 

の各州に及んだ。

 

 

また、いくつかの地域で停電が発生した。

 

 

 ウクライナ軍は、ロシアが81発のミサイルを発射したと発表。

 

ここ数週間で最大規模の攻撃となった。

 

一方で、

巡航ミサイル34発と、

 

イラン製ドローン「シャヘド」8機

のうち4機の

 

撃墜に成功したとしている。 

 

 

これほどの規模のミサイル攻撃は、

全国で計11人が死亡した1月26日以来。 

 

 

 

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、

ロシアが「悲惨な戦術」を再開したと指摘。「厳しい夜だった」と話した。 また、「大規模」なロケット攻撃が重要なインフラや住宅を襲ったものの、エネルギーシステムは復旧し、すべてのサービスが機能していると述べた。 

 

 

こうしたなか、東部の都市バフムートでは依然、激しい戦闘が続いている。

 

 

 

 

 ■首都キーウでも爆発

 西部リヴィウ州の

マクシム・コジツキ知事は

メッセージアプリ「テレグラム」で、

住宅にミサイルが直撃し、少なくとも5人が死亡したと述べた。 

 

 

 

ドニプロペトロウシク州の

セルヒイ・リサク知事は、

ドローンとミサイルの攻撃により1人が死亡、2人が負傷したと発表した。 

 

 

キーウ市内では

西部と南部で爆発があり、救急隊が駆けつけた。

ヴィタリー・クリチコ市長は、

集合住宅の中庭で車が炎上しているとし、住民らに避難所にとどまるよう呼びかけた。

また、市内の大部分が停電に見舞われており、

10人に4人が影響を受けていると述べた。 

 

 

キーウで取材中のジェイムズ・ランデイルBBC外交担当編集委員は、

 

午前5時50分(日本時間午後12時50分)ごろに

「最初に首都で爆発音が聞こえ」、

首都の南西部で煙が上がるのが見えたと話している。

 

その際には自分たちもシェルターに避難したものの、

その約5時間後にはすでに空襲警報は解除され、

市民はいつも通りに歩いて出勤したり、途中でコーヒーを買ったりしているという。 

 

 

オデーサ州の

マクシム・マルチェンコ知事によると、

港湾都市オデーサのエネルギー施設も激しいミサイル攻撃を受け、停電が発生した。住宅地も攻撃されたが、

死傷者は報告されていないという。 

 

 

 

ハルキウ州の

オレグ・シネグボフ知事は、

ハルキウ市など州内で「15回ほど」の攻撃があり、

「重要インフラ施設」と集合住宅が標的になったと述べた。

 

 

 原子力事業者エネルゴアトムは、欧州最大のザポリッジャ原発への攻撃で、同原発とウクライナの電力システムを結んでいた「最後のリンク」が切られたとした。 

 

 

同原発が攻撃を受けたのは、ロシアに占領されて以来、6回目。現在はディーゼル発電機で稼働しており、10日間分の物資が確保されているという。 

 

ザポリッジャ州のロシア支配地域にいるロシア関係者は、

ザポリッジャ原発にウクライナ領内から電力が供給されなくなったのは「挑発行為」だと述べた。

 

 

 

 このほか、西部ヴィンニツァ、リウネ、

 

中部ドニプロ、ポルタヴァの各州などでも攻撃があった。 

 

 

数州で被害が出た1月末の攻撃以来、最大の攻撃となっている。

 

当時は多数の建物が攻撃され11人が死亡した。 

 

 

■米情報当局の戦局分析 

アメリカのアヴリル・ヘインズ国家情報長官は8日、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領について、何年も戦争を引き延ばすつもりかもしれないとの見方を示した。

 

 

また、ロシアには年内に新たな大規模攻勢をかけるほどの強さはないとした。 

ヘインズ氏はさらに、ウクライナにおける戦争は「双方とも決定的な軍事的優位性をもたない過酷な消耗戦」になっていると分析。 

 

「ロシア軍が今年、領土を大きく広げるのに十分な軍事的回復をするとは思わない。だがプーチンは、時間が自らに有利に働くと計算しているようだ。

 

一時停戦も含めて戦争を長引かせることが、

たとえ何年もかかるとしても、

最終的にウクライナにおけるロシアの戦略的利益を確保するうえで、

残された最善の道だと考えているようだ」と話した。 

 

 

ヘインズ氏は、ロシアが現在制圧している地域の防衛に転じるかもしれない

とも述べた。

 

そして、ウクライナでの作戦レベルを維持するためには、

ロシアは追加的な「強制動員や第三者による弾薬の提供」が必要

になるだろうと付け加えた。 

 

戦闘が続く東部バフムートの状況についてウクライナ軍は、ロシアの激しい攻撃を押し戻したと説明している。ロシアは同市の東半分を制圧したと主張している。 ロシアは数カ月前からバフムートの占拠を狙っている。激しい消耗戦となっており、双方が大きな損害を出している。 

 

ウクライナ軍参謀本部は、

「敵は攻撃を続け、バフムート市への襲撃をやめる気配はない」、

 

「私たちの防衛隊はバフムートと周辺地域への攻撃を撃退した」とした。 

 

 

西側当局によると、バフムートの戦闘が始まった昨夏以降、

2万~3万人のロシア兵が死傷している。

この数字は独自に検証できていない。 

(英語記事 Ukraine nuclear plant loses power after strikes)

(c) BBC News

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