あるウクライナ人女性衛生兵 バフムートの最前線で戦死

AP通信

 

ビーンヌイツャ、ウクライナ、3月9日 (AP) 

 

― 母親の悲痛な叫び声が朝の寒空に響き渡った瞬間、外で涙をこらえていた人たちも、それ以上涙をこらえることができなかった。  

 

「ああヤナ、ああ私の娘よ」とオレナ・リヒリツカさんは叫んだ。

「私の赤ちゃん、私の娘」。  

 

オレナさんの一人娘で、29歳になったヤナさんは昨年末、

ウクライナ軍に志願して入隊。

衛生兵となったときに作った金髪の三つ編みのまま、棺に横たわっていた。

 

  ちょうど1週間前、ヤナさんは東部戦線のバフムート郊外の野戦病院で、

負傷兵の治療を手伝っているところを、

AP通信のテレビチームに取材されたばかりだ。

 

 

  ヤナさんはその数日後、バフムートの野戦病院と前線を行き来していた別の衛生兵とともに、砲撃を受けて死亡した。

 

 

  最後の別れを告げるために3月7日、

彼女の故郷ウクライナ中部のビーンヌイツャに友人、同僚、親戚が集い、活力に溢れ、生涯を通じて人を助けたいという思いに駆られたヤナさんを偲んだ。

 

 

  昨年2月24日のロシア侵攻の直前、ヤナさんは格闘技と音楽、ダンスの要素が合わさったカポイエラを習うために数カ月間、ブラジルにいた。

 

 

  侵攻後すぐに帰国したヤナさんは、ウクライナ防衛のための募金活動や軍隊のボランティア活動を始めたが、間もなく衛生兵になることを決意した。

 

  ヤナさんら医療チームは、赤十字のマークを付けた車両で移動していたことから、ヤナさんの夫は、ロシア軍が故意に車を狙ったと確信しているようだ。

 

 

  青と黄色のウクライナ国旗に包まれたヤナさんの棺は、地元の墓地の軍区画に運ばれ、最後にもう一度棺のフタが開けられると、オレナさんが娘の頬をそっと撫で、最後にキスをした。  

 

棺が埋葬場所まで運ばれ、弔銃が響く中、

「ノー、ノー!」と泣き叫ぶオレナさんの背後には、ウクライナの国旗が風になびいていた。

 

(日本語翻訳・編集 アフロ

 

 

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