WHOが葛西健氏を解任…人種差別的発言や日本政府への機密情報漏洩で告発

読売新聞【ジュネーブ=森井雄一】世界保健機関(WHO)は8日、西太平洋地域事務局(フィリピン・マニラ)の事務局長を解任したと発表した。2019年2月に事務局長に就いた葛西健氏で「調査の結果、不適切な行為が判明した」としている。AP通信によると、WHOが地域事務局長を解任したのは初めて。

 

 

 

葛西健氏=AP

葛西健氏=AP© 読売新聞

 

 

 

 WHOは6か所の地域事務局で世界をカバーし、西太平洋地域事務局は日本や中国、ベトナム、オーストラリアなどを管轄している。

 

 

 

 WHOは、葛西氏の名前や問題行為については明らかにしていないが、現地職員に人種差別的な発言をしたり、機密情報を日本政府に漏らしたりしたとして告発されていたことが昨年1月、明らかになり、内部調査を受けていた。

 

 

 

 AP通信によると、匿名の職員30人以上がWHO本部(スイス・ジュネーブ)の執行部に苦情を申し立てており、昨年8月には休職状態となっていた。

 

 

 

 APは、葛西氏が部下に対して「攻撃的なコミュニケーションや公然の場で恥をかかせる行為」を繰り返し、事務局内に「不快な雰囲気」をもたらしていたと報じている。職員は報復を恐れて反対意見を述べられない状況で、組織内の信頼関係が欠如していたという。

 

 

 

 葛西氏は救急医出身で感染症や健康危機管理の専門家。旧厚生省に入省後、WHOに移籍した。葛西氏は昨年1月、「職員に厳しく接してきたのは事実だが、特定の国籍の職員をターゲットにしたことはない。機密情報を漏らしたとの非難にも異議がある」との声明を出して反論していた

 

 

 

 

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