栃木県に完成した「ホテルではない」という名の建物、何の施設?

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1.別荘

 

(写真:安川 千秋)

(写真:安川 千秋)

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 手入れの行き届いた牧場の芝生が続く丘の上に立つ2つの別荘。中に入ると、開放的なピクチャーウインドーで周りの環境と一体化したようなリビング・ダイニングが広がります。

 

 

 

 別荘といっても、従来のコンセプトとは一線を画します。建設費が数億円の別荘の所有権をシェアで購入し、利用しない日はホテルに切り替えて貸し出すこともできる新しい業態です。

 

 

 

 開発したのは、2020年設立のスタートアップ企業、NOT A HOTEL(東京・渋谷)。NASUは22年10月に完成し、23年1月から稼働しています。

 

 

 

 22年11月に開業した第1弾の「NOT A HOTEL AOSHIMA(アオシマ)」と共に、新たなビジネスモデルを全国展開していくためのフラッグシップとして位置づけています。25年度中をめどに、新業態の施設を国内30カ所に拡大する計画です。

 

 

 

 

 

(写真:安川 千秋)

(写真:安川 千秋)

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 NASUでは、コールテン鋼の外装が印象的な北側の建物を「MASTERPIECE(マスターピース)」、コンクリート打ち放しの南側の建物を「THINK(シンク)」と呼びます。

 

 

 

 設計は、SUPPOSE DESIGN OFFICE(サポーズデザインオフィス、広島市)。

 

同社の谷尻誠共同代表は、「自然の雄大さになじませつつ、負けない強い素材を選んだ。地形になじむ彫刻的な造形を提案したかった」と説明します。

 

 

 

 2つの建物の個性を変えたのにも、理由があります。

 

NOT A HOTELでは、

所有権を購入したオーナーが他物件でも自身の利用権を使える「相互利用システム」を導入しています。今後、全国各地に展開していく同ブランドの施設体験が全てサービスに含まれるのです。

 建物のバリエーションが豊かであるほどサービスの魅力が高まり、多くの買い手に訴求できるというわけです。

 

 

 

 NOT A HOTELの濱渦伸次代表は、

「新型コロナウイルス禍でリモートワークや地方移住者が増え、居住に対する価値観が変わった。住宅や宿泊施設の在り方を変え、第2の拠点がある幸せな体験をつくりたかった」と振り返ります。

 濱渦代表によると、NOT A HOTELは富裕層のためのビジネスではなく、シェアで得た利益を地域に還元することを目的としたサステナブルなサービスです。

 

 濱渦代表はその実現に向け、場の魅力を引き出せる建築家と協働し、

地域の人も誇りに思える場の創出を目指しています。

 

 

 第1弾のAOSHIMAでは、

地域の人にも楽しんでもらえるよう、廃虚になった温泉跡地を利用して、周囲を公園化しました。

 

 23年夏には、SUPPOSE DESIGN OFFICEが設計した

「NOT A HOTEL MINAKAMI(ミナカミ)」と、

 

藤本壮介氏の設計による「NOT A HOTEL ISHIGAKI(イシガキ)」

が開業する予定です。

 

 

 

 住宅やホテルの常識を覆す新たなビジネスモデルを打ち出したNOT A HOTEL。その挑戦は今後も続きます。

 

 

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