陸前高田市立博物館(岩手県陸前高田市)
復興の先を育む3つの余白
被災2施設を統合し、かさ上げ地で再開
発注:陸前高田市
設計:内藤廣建築設計事務所
施工:佐武建設
宮沢 洋
ライター
岩手県陸前高田市の公共施設再建の集大成として、陸前高田市立博物館が2022年11月に開館した。隣接する市の追悼施設も含めて内藤廣建築設計事務所の設計。明確な機能のない“余白”こそが内藤建築の本質であると感じさせる空間構成だ。
2022年11月5日に開館した陸前高田市立博物館を北西から見る。写真左側のガラス部分が出入り口。ハの字に架かる2枚の大屋根と、1階の上部を取り巻く「裳階(もこし)」のような庇が特徴的。屋根から飛び出しているのは屋上に出るエレベーターの塔屋。屋根や上部の外壁はチタン亜鉛合金板、1階外壁は岩手県産のスギ小幅板パネル(写真:吉田 誠
)
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20年以上前のことだが、内藤廣氏の口からこんな言葉を聞いたことがある。「人々に元気があるときには放っておいても建築はうまく回る。自分は、人々の元気がなくなったときにも力を与えられる建築をつくりたい」。
内藤廣建築設計事務所(東京都千代田区)が設計した陸前高田市立博物館と陸前高田市東日本大震災追悼施設を見て、その言葉を思い出した。
2022年11月5日、
陸前高田市立博物館が開館した。
場所は震災後にかさ上げされた新市街地。
JR大船渡線バス高速輸送システム(BRT)・陸前高田駅のすぐ近くだ。陸前高田市の公共施設の復興は、これをもって1つの区切りとなる
復興の先を育む3つの余白 | 日経クロステック(xTECH) (nikkei.com)