ポーランド着弾のミサイル調査にウクライナが参加する「本当の理由」

ニッポン放送

外交評論家で内閣官房参与の宮家邦彦が11月18日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。ポーランドに着弾したミサイルについて解説した。

ポーランドへのミサイル着弾、ウクライナもミサイルの調査に参加へ

【ウクライナ侵攻】記者会見するウクライナのゼレンスキー大統領=2022年4月23日午後、ウクライナ・キーウ 写真提供:産経新聞社

 

 

 

ポーランドにミサイルが着弾したことをめぐり、ウクライナのゼレンスキー大統領は現地でポーランドなどが行っている調査に、ウクライナの専門家も加わると明らかにした。ポーランド政府によると11月15日、ウクライナとの国境に近い村にミサイルが着弾し、2人が死亡。アメリカなどはウクライナ軍の迎撃ミサイルだった可能性があると指摘している。 飯田)この一報が入ったときには、NATO加盟国が攻撃されたのではないかと……。 宮家)ロシアが意図的にポーランドを攻撃したのであれば、NATO条約第5条発動の可能性も出てくる。下手をすると集団的自衛権が発動されてしまうので、その意味では大変なことです。

現時点ではロシアから撃ち込まれたものか、ウクライナが迎撃したものかはわからない

宮家)現時点で中立的に、客観的に言うと、(真相は)わかりません。私なりの解釈を申し上げると、おそらく当時は、ロシアが多くのミサイルを撃ち込んでいました。ウクライナは迎撃ミサイルシステムを持っていますから当然、迎撃します。 

 

 

飯田)ロシアからのミサイルを。 

 

 

宮家)これまでもミサイルやドローンを迎撃しています。 

 

 

飯田)そうですね。 

 

 

宮家)ミサイルを迎撃するのだから、ぶつかったときの具合で破片が飛んだりするわけです。その際、どのように破片が飛んだかについては、正直言ってわかりません。 

 

 

飯田)破片がどう飛んだかについては。

ウクライナの迎撃だとしても、そもそもロシアの攻撃から始まったこと

宮家)何でもあり得ると思うのです。NATO側は配慮していて、「これは迎撃だけれど、責任はロシアにある」とウクライナを擁護しているわけです。 

 

 

飯田)そもそも、撃ってこなければ迎撃しなくてもいいのだから。 宮家)初動を考えると、ロシアの攻撃には違いないのですからね。

NATOが何と言おうと、「ウクライナのミサイルだ」とは言えないゼレンスキー大統領

宮家)残骸がどんなものなのかによって、見えてくると思います。ある程度わかっているのかも知れませんが、

 

ゼレンスキー大統領にすれば、

いくらNATOが何と言おうが、

今は「ごめんなさい、ウチのでした」などと簡単には言えません

 

 

「自分は軍の報告を疑わない」と言っているのです。それはそうですよ、疑ったら終わりですから。 

 

 

飯田)士気に関わる。 

 

 

宮家)その意味では、全体として見るとまだわからない。

バイデンさんは「ウクライナの攻撃ではないということについての証拠がない」と言うけれども、「ウクライナの攻撃だという証拠があるのか」というと、それもおそらくないのです。 

 

 

飯田)ウクライナの攻撃だという証拠もない。 

 

 

 

宮家)これから調査団が本格的に調査するので、そこにウクライナも参加するということです。それで事実がわかりますから、最終的にその事実を淡々と公表することが、NATO側にとってもウクライナ国民にとってもいいのだと思います

 

 

ポーランドに対して慎重な発言のゼレンスキー大統領

飯田)日本の報道では、「ウクライナが全面否認している」というようなニュアンスですが。 

 

 

宮家)ゼレンスキーさんのいままでの発言を聞いていると、もちろん軍を疑いたくない。リーダーとして、簡単に責任を認めたくないという気持ちはあるけれど、かなり慎重な表現をしていることは間違いないと思います。

 

 

 

 飯田)ことが起こった直後には、ポーランドに対して哀悼の意を表明しています。 

 

 

 

宮家)ウクライナにとって、ポーランドは大事ですからね。ポーランドがいなかったら補給も何もできませんから。国際政治的にも微妙な発言が求められるので、慎重になっているのだろうと思います。

年を越えて長引く可能性が高いこの戦争

飯田)全体の情勢ですが、ヘルソンをウクライナが奪還し、それに対してロシアは都市攻撃とインフラへの攻撃を行っています。

 

 

 宮家)インフラへの攻撃、特に電力への攻撃は効果が出ています。いちばんの弱点ですから。 

 

 

飯田)そうですね。 

 

 

 

宮家)しかし、必ずしもそれで戦場の趨勢が変わるわけではない。むしろウクライナ側の士気はますます上がる可能性が高いです。 

 

 

飯田)ウクライナの。 

 

 

宮家)戦争は交渉では終わりません。1度殴り始めたら、両方ともへとへとになるまでやめないわけです。ヘルソンを奪還し、(ロシア軍は)川の向こうまで撤退しました。橋はみんな壊しました。だからこちらには来られないけれど、逆に言うと、ウクライナ側も川を渡ってまで東側に行くのは大変なのです。 

 

 

飯田)ウクライナ側も。 

 

 

 

宮家)専門家の意見では、川を挟んで対峙すると膠着状態になるから、武力も最低限のものでいい。そうすると、その余力をどこに持っていくのかという議論になるのだそうです。 

 

 

飯田)その余力を。 

 

 

宮家)常識的には、東部ドンバスの方に持っていくという説があります。可能性としてはそうかも知れませんが、ロシアのことですから、例えばベラルーシにある基地を使って直接キエフを攻撃する可能性もあるわけです。 

 

 

飯田)ベラルーシを使って。 

 

宮家)アメリカが上から見ているので、簡単にできるとは思わないけれども、ロシアはまだ「負ける」とは思っていないのです。おそらく、このまま続いて年を越えます。そうなると、あっという間に1年が経過します。

 

 

 飯田)2月24日に始まっていますから

 

 

 

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