ロシアの戦闘機MiG-31は約320キロ先から敵を狙う、ウクライナ反撃できず

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ロシア航空宇宙軍が、ウクライナの制空権確保に失敗したことは周知の事実だ。 柔軟性に欠ける手順、精密兵器の不足、堅固なウクライナの防空網に阻まれ、ロシアの航空宇宙軍(VKS、Vozdushno-kosmicheskiye sily)はウクライナ空軍と比べて戦闘機や攻撃機の数では10対1と優位に立っているにもかかわらず、せいぜい上空で自らを守っているにすぎない。 だからといってロシア側のやり方がすべて間違っているわけではない。ロシアの航空機メーカーMikoyan(ミコヤン)が手がけた、VKSの最高の戦闘機である双発2座席のMiG-31BMを駆る3連隊は、空軍のほとんどが負けている中でも勝利を収めている。 MiG-31の乗組員は刻々と変化する前線に沿って高高度での防御パトロールを行い、ロシアの兵器メーカーVympel(ヴィーンペル)科学製造連合製の強力なR-37M空対空ミサイルを発射する。ここ数週間でウクライナのジェット機を数機撃墜した。ウクライナ側の戦闘機やミサイルが効果的に反撃するには速度、航続距離、高度性能が足りない。 VKSの防衛パトロールは「ウクライナの攻撃機や戦闘機に対して非常に効果的であることが証明されており、特にMiG-31BMとR-37M長距離空対空ミサイルが問題だ」とジャスティン・ブロンク、ニック・レイノルズ、ジャック・ワトリングは英王立防衛安全保障研究所のウェブサイトに掲載された研究に記している。 1975年に初飛行した24トンのMiG-31は稀有な存在だ。この戦闘機は、核攻撃中の超音速の米空軍爆撃機を迎撃するためにロシアが特別に設計した冷戦時代のMiG-25の改良版だ。現在、約90機の近代化されたMiG-31BMが3連隊に配備されている。少なくともそのうちの1連隊はロシアが占領したウクライナ南部クリミアのベルベク空軍基地にMiG-31BMを配備し、ウクライナ上空に出撃させている。 MiG-31はウクライナ空軍の最高の戦闘機Su-27よりも高く、速く、遠くまで飛ぶことができる。このヘビー級の戦闘機は高度6万フィート(1万8000メートル)を飛行でき、航続距離は450マイル(約724キロ)、短時間であればマッハ2.5の速さでダッシュすることが可能だ

 

 

 

 

200マイル対50マイル

MiG-31の乗員は、高い位置から装備されているザスロンレーダーで標的を探し、200マイル(約321キロ)離れた標的にミサイルR-37Mを1発、発射することができる。それに比べて、ウクライナのSu-27が装備する同じくヴィーンペル製のR-27ミサイルの射程距離は50マイル(約80キロ)以下だ。 ウクライナ軍が8月下旬から東部と南部で反撃に出たとき、VKSはウクライナ上空の8つのゾーンで24時間パトロールを行い、それぞれのパトロールにMiG-31またはSu-35のペアを投入した。 このパトロールは反撃の支援をしているウクライナの攻撃機(Su-25、Su-24、MiG-29)を捜索するためのものだった。8月下旬に反撃が始まって以来、ウクライナは4機のMiG-29、6機のSu-25、そしてSu-24とSu-27を各1機失ったことを外部アナリストは確認している。 MiG-31の乗組員が何機を撃墜したかは不明だ。おそらく数機だろう。「VKSは10月に1日あたり最大6発のR-37Mを発射した。非常に長い有効射程、低高度の標的を捕捉するために設計されたシーカーと組み合っているこの非常に高速な武器は特に回避が困難だ」とブロンク、レイノルズ、ワトリングは研究に書いている。 VKSは、戦闘ではなくクリミアでの事故で1機のMiG-31を失くした。それ以外の戦闘機の乗員は、今回の戦争で無傷で撃ち返せないウクライナ人に向けて攻撃している。 ウクライナ軍が最近、MiG-31部隊に打撃を与えたのは10月のベルベク空軍基地への1回限りの砲撃だ。この基地へのロケット弾攻撃は数機のロシア軍機を破壊または損傷させたが、そのどれもMiG-31ではなかった。

David Axe

 

 

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