建築費も「安いニッポン」、東京と世界の大都市を比較してみた

木村 駿

 

日経クロステック/日経アーキテクチュア

 

木材に鋼材、生コンクリート、ガラスから内外装材まで、あらゆる資材の高騰が影響し、上昇を続ける日本の建築費。建設物価調査会によると、2011年を100とした鉄骨(S)造事務所の建築費指数(工事原価)は、22年9月に135.0に達した。実に21カ月連続の上昇だ。では、他国と比べて日本の建築費は高いのか、それとも安いのか。

 世界の主要都市における建築費について、日経クロステックが建築のコストマネジメントを手掛けるサトウファシリティーズコンサルタンツ(東京・千代田)に分析を依頼したところ、世界における東京の順位が約30年間で大きく変動したことが分かった。

 東京と世界の主要都市を対象に、1990年におけるオフィスビル(S造20階建て)の建築費を、米ドル換算して示したのが下の図だ。ここでいう建築費は、発注者が建設会社に支払う金額、つまりプライスを指す。

 

 

 

 

 

1990年における世界の主要都市の建築費(鉄骨造20階建てのオフィスビル)。サトウファシリティーズコンサルタンツが海外の協力事務所や建設コストコンサルタントの情報を基に作成した。各通貨の米ドル換算レートは1990年のものを使用。1ドル=145円だった(出所:サトウファシリティーズコンサルタンツ)

1990年における世界の主要都市の建築費(鉄骨造20階建てのオフィスビル)。サトウファシリティーズコンサルタンツが海外の協力事務所や建設コストコンサルタントの情報を基に作成した。各通貨の米ドル換算レートは1990年のものを使用。1ドル=145円だった(出所:サトウファシリティーズコンサルタンツ)

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 1990年といえば、日本がバブルの絶頂にあった時期。

当時の東京の建築費は2450ドル/m2で、世界で最も高かった(1ドル=145円)。

 

 

前年には三菱地所が米ニューヨークのロックフェラー・センターを買収するなど、まさに日本が世界を席巻していた時期といえばイメージが湧くだろうか。

 

建築費でも、2位の英ロンドン(1980ドル/m2)や3位の米ニューヨーク(1960ドル/m2)を大きく突き放していた。

 

 

 

 地震国である日本では、他国に比べて構造体の断面を大きくする必要があるなど、そもそも建築コストが高くなる傾向がある。

 

そこに、深刻な人手不足を背景とした鉄筋工などの労務費の上昇や資材高が加わって、当時の東京の建築費は高騰した。

 

 

では、未曽有の資材高に揺れる2022年において、

東京の建築費はどのようなポジションにあるのか

 

 

 

 

建築費も「安いニッポン」、東京と世界の大都市を比較してみた | 日経クロステック(xTECH) (nikkei.com)

 

 

 

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Forbes Japan

 

東京が「世界で最も建築費の高い都市」に

 

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CONTRIBUTOR

Data journalist covering technological, societal and media topic

 

東京が「世界で最も建築費の高い都市」に | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)

 

 

 

2021年7月22日に発表された調査結果では、東京が「世界で最も建築費の高い都市」としてランキングされた。大幅なコスト超過を重ねた異例の東京五輪を直前にしてのことだ。

日本の首都がさほどありがたくない金メダルを獲得したのは、建設マネジメント・コンサルティング会社、ターナー&タウンゼント(Turner & Townsend)が発表した、2021年度の建築費ランキング「国際建設市場調査」でのことだ。世界45カ国90市場の建設業界を対象としたこの調査によると、東京の1平方メートルあたりの建築コストは、平均4002ドルだった。

日本の首都が建築費のトップに立ったのは今回が初めてだ。東京のこの結果は、不動産およびインフラプロジェクトが大きく成長し、広範囲な商品供給ルートが資源需要を押し上げたことによる。

東京における建築プロジェクトのコスト増加は、五輪関連費用にも反映されている。2013年に東京が開催権を獲得した当初、その費用は73億ドルと見積もられていた。それがその後、新型コロナウイルスの影響で開催が延期される直前の2019年12月には、招致委員会によって126億ドルに上方修正された。

日本経済新聞と朝日新聞は、最終的なコストを280億ドル前後と推定している。東京五輪や国内の建設全般の事情を別としても、日本は世界3位の経済大国であり、1億2600万人の人口を抱え、高度な技術力で知られる。

ターナー&タウンゼントは、米国のテック大手を含むグローバル投資家が、日本の不動産に特に関心を持っていると指摘している。それは、消費者のEコマース利用が中国やヨーロッパに比べて遅れていることから、Eコマースが今後大きく成長する余地があるからだ。また、安定した電力網があり、アジアのハブに近接していることも好材料となっている。

なお、同社の世界建築費ランキングでは、香港が1平方メートルあたり平均3894ドルで2位、サンフランシスコが同3720ドルで3位に入っている。4位のニューヨークと合わせて、これらの市場はこれまでもランキングのトップ10位内に入っていた。
 

2021年の1平方メートルあたりの平均建築費(USドル)*



*4つの建物タイプの平均コストに基づく

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翻訳=高橋朋子/ガリレオ