ServiceNowで実現する戦略的ポートフォリオ管理とは
DXのための仕事がDXされてない実情を打破するために
IT部門の働き方を変革する
DXは経営の最重要課題となり、DX実現をリードするIT部門の重要度は増している。だが、IT部門の働き方はどうだろうか。予算執行やプロジェクト管理はExcelやメールで行われているため、IT部門の仕事自体がDXされてないのが状況だ。これでは企業のDXを成功に導くことは不可能だろう。部門の要求に応えるだけの「御用聞き」スタイルを脱し、経営の戦略を現実的な計画に落とし込み、着実なプロジェクトポートフォリオ管理を通じて価値を実現するリーダーシップが求められている。そのためにはどうしたら良いのか。IT投資管理に精通した専門家に課題と解決策を聞いた。
DXを絵に描いた餅にしないために
IT部門は変わる必要がある

ServiceNow Japan合同会社
ソリューションセールス統括本部
テクノロジーワークフロー事業本部
テクノロジーワークフロー事業部
シニアセールス
今泉 潤一 氏
日本アイ・ビー・エムで流通・製造業のSIプロジェクトマネージャーを担当。フューチャーアーキテクトを経て、2019年ServiceNowに入社。SPMのProduct Line Head、事業統括として、日本におけるSPMの認知度向上、ビジネス拡大を牽引。テクノロジーワークフローの各製品群も担当する。
あらゆる業種業態で、デジタルは企業経営に欠かせないものであり、経営戦略に基づいたIT投資が不可欠となっている。ServiceNow Japanの今泉潤一氏は、その背景には企業におけるITの役割が大きく変わってきていると話す。
「かつて、企業ITの役割は、社員の業務を効率化し、支援するための道具として使われていました。それが徐々に変わり、今ではDX(デジタルトランスフォーメーション)の潮流の中で、事業戦略を担う役割、いわば、ITが企業の命運を託される存在になってきたと言えます」
この変化に対応するために、企業内のIT部門・デジタル部門の役割も変わる必要がある。社内の設備管理者的な役目から、全社的な事業戦略の策定と実行を担い、経営をサポートする組織への変身が求められているのである。
しかし、いまだに従来のスタイルを続けているIT部門が少なくないと言う。
「かつてのIT部門は、来期の事業予算を策定する際、各事業部門にシステム化の要望を聞いて回っていました。ITが仕事の道具だった時代はそれで良かったのですが、事業戦略の武器になった今日でも、相変わらず『御用聞き』的な仕事が続いていると感じています。これでは、経営が実現したいDXは実行できず、絵に描いた餅になってしまいます」
IT部門が御用聞きをしている限り、現場が要求するシステムが優先されることになり、トップが目指すビジョンと乖離していく。
また、システムの観点からも、現状のIT部門が経営戦略の実行部門として機能しない理由がある。最近ではDX戦略室、デジタル推進室などの名称で、経営者の直下に部門横断的なデジタル組織をつくる企業が増えている。そこである程度大きな絵(ビジョン)は描けるが、ここから実行に移そうとすると、壁に当たるのだという。
「IT戦略を実行するためには、現状の把握と、それを踏まえた実現性のある計画の立案が不可欠です。しかし、現在のシステムがどうなっていて、開発プロジェクトがどこで走り、いくら予算が投下されているかなどが分からないと、次の一手を実行することができません。そのうえ、計画が正しく実行できたのかの確認も、正しく行えないことになります」
DX実現のためには、IT部門の意識改革とともに、企業全体のIT投資を管理できるソリューションを持たなければいけないということである。
では具体的に、企業が社内のITを把握し、戦略的な投資を管理できるソリューションとはどのようなものか。次のページで詳しく聞いていく。
DXを阻むIT部門の課題
IT部門の働き方を変革する - 日経クロステック Special (nikkeibp.co.jp)