野沢直子、還暦目前にして「貯金ゼロ」…育て上げた3人の子どもに熱弁し続けたことは?

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還暦目前にエッセイを発表した野沢直子 (C)oricon ME inc.

 

 

 

 

 1991年、女性芸人として人気絶頂の中で突然、渡米を発表。その後、アメリカでバンド活動をしながら、現在は「3人の子どもの子育てがやっと終わりました」と笑顔で語る野沢直子。そんな彼女が、自身の“老い”への悩みや考えを赤裸々に記したエッセイを発表した。

 

 

現在、還暦直前の59歳。本書の中で「年相応の服装はしない」と宣言していた彼女は、取材現場にオレンジ色の鮮やかなヘア、若々しさとはまた種類の違う派手な衣装で現れ、当時を彷彿とさせる無邪気な笑みを見せた。

 

 

 

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■コロナ禍で実感、「中身も見た目も劣化している」自分にジタバタ 

 

 エッセイ『老いてきたけど、まぁ~いっか。』(ダイヤモンド社)は、人生の最終章を思いきり楽しむための、野沢直子流“老いとの向き合い方”。自身の老いを隠さず話しながらも、それをも肯定的に捉えようとする潔い考え方が心地よい。「良性のわがままになろう。」…本の帯に書かれている通り、老いや周囲の目に振り回されない持論が数多く綴られている。

 

 

 ――ダウンタウン、ウッチャンナンチャン、清水ミチコさんらとの『夢で逢えたら』(フジテレビ系)をはじめ、『クイズ世界はSHOW by ショーバイ!!』(日本テレビ系)など毎週楽しみにしていました。あの元気で明るく、“素っ頓狂”なキャラの印象がある野沢直子さんが老いについての本を出すということが意外だったのですが。 

 

 

 

 

【野沢直子】ありがとうございます。あの…コロナ禍が3年くらい続いたじゃないですか。その間に、老いについて考えてしまったというか。父親が亡くなったというのが一つあったんですが、介護のこと、人の死には結構お金がかかるんだという現実を見て、いろいろなことを感じてしまったんですね。私自身、50代後半くらいから急に老いを感じるようになったし、コロナ禍で考える時間が長かったということもあります。

 

 ――コロナ禍も関係していたんですね。 

 

 

 

 

【野沢直子】はい。落ち込むってわけじゃないですけど、なんかいじけちゃって(笑)。例えばステイホーム中にも、子どもたちが話していることがわからない、流行が読めない…とか、自分が蚊帳の外にいる気がして、急に老いを感じ始めちゃたんです。それこそ、若い子の顔の見分けがつかないとか、中身も見た目も劣化していることを意識し始めて、ジタバタしてしまいそうになったというか。

 

 

 ――ですが本書を読むと、老いを肯定的にとらえている印象です。 

 

 

 

【野沢直子】そうですね。自分でも書いているうちに、だんだん考えがまとまってきたんです。最初は、見た目もババアになってきたし感性は鈍ってるし、物忘れはひどいし流行わからないし、「なんだこれ!」って思っていたものが、ちょっとはやる気出そうかなって。書いたおかげで、自分が元気になって良かったなと(笑)。 ――なるほど。書くということにはそういう効能もあるんですね。 

 

 

 

【野沢直子】そうしようと思って書いたわけじゃないんですけど、結果的には自分が一番ラクになって良かったなと思いました(笑)。最初、本のタイトルは『全国の59歳のみなさんへ』にしようと思っていて。この年齢って、仕事も一段落してもうすぐリタイアとか、子どもは独り立ちして…っていう時期じゃないですか。そこで自らの老いに気づき、「この先どうしよう」という人に読んでもらいたかったんです。

 

 

まあ、そのタイトルだと、読者が「59歳」に限定されてしまうから、却下されたんですけど(笑)。でも、「悩んでいたのは私だけじゃないんだ」と心強く思ってほしいので、同世代の同じ悩みを抱えている方にぜひ、読んでもらいたいですね

 

 

 

■バンド活動しながら専業主婦、子どもに熱弁した「自分の好きなことを見つけてくれ」

「年相応の服を着ない」がモットー(ダイヤモンド社刊)

 

 

――野沢さんは以前からブログでも、結婚や子育てなどプライベートを明かしていましたが、この本についてお子さんは何か言っていますか? 

 

 

 

【野沢直子】「私のことはあまり書かないでくれ」とか、言われましたね(笑)。次女が小さい頃は、鼻に割り箸を突っ込んだり変なことをするので、面白がってブログにも載っけていましたけど(笑)。大人になった最近は嫌がることが多いですし、載せようと思っても「これは写りがダメ」とか、写真チェックが厳しくて(笑)。

 

全員のOKが出るまでにすごく時間がかかっちゃうので、面倒くさくて今はやめています。 ――長女の真珠・野沢オークレアさんは格闘家「juju」として活躍されていますし、3人の子どもたちを立派に育てあげられました。ところで、あまり知られてないと思うんですが、野沢さんはアメリカではどんな生活を送ってきたのでしょうか。 

 

 

 

【野沢直子】基本的には専業主婦で、あとはバンドをやったりショートフィルムを作ったり。主婦としては、料理は和食が多くて、子どもたちも大好きですね。今は寿司、ラーメンブームのほかにうどん店も出来ていますし、日本食材にも困りません。 ――過去にはバンド活動で、ちくわとか投げていましたよね。 

 

 

 

【野沢直子】それは今も変わってなくて、スペインやサンフランシスコでのライブでは『ラーメンロック』って曲で、ラーメンの麺をステージから投げたりしていました(笑)。観客はスパゲティだと思っていたっぽいですが。 ――なるほど、ラーメンの布教にも一役買ってた!? 

 

 

 

 

 

【野沢直子】あっはっは。ブームの火付け役かもしれませんね(笑)。 ――母として、子育てでは何を重視していましたか? 

 

 

【野沢直子】小さい時から「好きなことを見つけて、それに突き進んでくれ」と言っていました。結果、長女に限らずみんな、わりと自分の好きな仕事についているので、それはすごく良かったと思います。私が頑張ったというより、子どもたちが努力してくれたのが良かったですね。ただ、私があまりに口を酸っぱくして「本当に自分の好きなことを見つけてくれ」って言うので、逆に子どもたちが「失敗した時の保険に大学へ行ったほうがいいんじゃないか」と言ってきたりして(笑)。 

 

 

――なるほど。本書で「貯金がゼロ」とおっしゃってましたが、それで…。

 

 

 

 【野沢直子】そうです。子どものために使ってきて、本当に貯金はゼロです(笑

 

 

■「年相応の服を着ない」、“意識高そう”なアメリカの本当の姿は?

エッセイ『老いてきたけど、まぁ~いっか。』(ダイヤモンド社刊)

 

 

 

 

――本書にあった「年相応の服を着ない」という言葉がすごく胸に刺さりました。 

 

 

 

 

野沢直子】例えば以前住んでいたニューヨークや、今住んでいるサンフランシスコのような都会に限っては、「歳をとればとるほど派手な服を着よう」っていう傾向はちょっとあると思うんですね。老いたからといって遠慮したり、周囲の目を気にするよりも、すごくいいことだと私は思っていて。白髪をピンクにしたり、カラフルな服を着たり、そこは真似しようと思っています。 ――昨今では日本でもルッキズムやエイジズムが問題視されるようになりましたが、やはりその点、アメリカでは意識が高いんですか? 「アメリカではみんな自分の好きな格好をしている」「考え方が進んでいる」と、日本と比べる人も多いですが。 

 

 

 

 

【野沢直子】いえ。アメリカってすごく大きな国なので、50州あったら50州すべて個性が違います。内陸の方へ行くと、やっぱ考え方もコンサバティブ(保守的・控えめ)。アメリカ=自由なイメージがあるかも知れないですけど、意外とそうでもない。都会は確かに自由な考えの人が多いというだけで、一枚岩ではないですし、それは一面に過ぎないと考えた方がいいと思いますよ。 ――なるほど。でも本当に、お話を聞いたりエッセイを読んだりしていると、老いても「まぁ~いっか」と捉えられるような気がしてきました。最後に、同世代の方、これから年を重ねていく方に伝えたいことは? 【野沢直子】老いについていろいろ書いていますが、消去法でもいいから、自分が肯定的に感じることを見つけてもらえればと思いますね。「幸せって何か」ということも触れているんですけど、100人いれば100通りの幸せがあると思うので。老いに限らず、いろんな世代の人が、何が幸せなのかと迷っちゃった時に、ちょっとしたヒントになればいいなと思っています。あと、この本で老後のための貯金をしたいと思っていますので、ぜひ買っていただければ。今、本当に貯金ゼロなので(笑)。よろしくお願いします! 

 

 

(文:衣輪晋一

 

 

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