国交正常化から50年、対面会談ない日中首脳がお互いに祝電予定…友好去り緊張関係

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読売新聞オンライン

(写真:読売新聞)

 日本と中国は29日、1972年の国交正常化から50年を迎えた。経済の結び付きを基盤に友好関係が続いた時代は去り、国力の増大を背景に軍拡を進めた中国は周辺に威圧を繰り返す。緊張関係は首脳間の対話にも影を落とし、両国が目指す「建設的かつ安定的な関係」の実現は見通せない。

 岸田首相と中国の習近平(シージンピン)国家主席は29日、節目に合わせて祝電を送り合う予定だ。ただ、首相は東京都内で開かれる記念イベントへの出席は見送り、代わりに林外相が出席する。懸案が山積し、祝賀ムードが乏しいことなどから、首相の出席は時期尚早と判断したとみられる。

 日中は1972年9月29日の共同声明調印で国交を正常化した。中国は日本の投資や技術を生かし、急速な経済成長を遂げた。2000年代初めは歴史認識問題で政治関係は冷え込んだが、経済協力は熱を帯び、「政冷経熱」とも称された。だが、10年に国内総生産(GDP)で日本を逆転した中国は、覇権主義的行動を強めるようになる。

 近年は中国の海洋進出が激化し、沖縄県・尖閣諸島周辺で中国海警局の船の航行が常態化している。第11管区海上保安本部(那覇市)によると、28日未明にも同諸島の領海に船3隻が侵入し、日本政府が抗議した。

 対立回避に向けた対話が求められるが、岸田首相は就任直後の昨年10月に習氏と電話で会談しただけで、対面会談は実現していない。

 松野官房長官は28日、首相官邸で、安倍晋三・元首相の国葬参列のため来日した中国の万鋼・全国政治協商会議副主席と会談した。松野氏が「首相と習主席の間には、建設的かつ安定的な日中関係の構築という共通認識がある」と述べると、万氏は自らが率いる代表団派遣について「中国が中日関係と岸田政権を重視している表れだ」と応じた。

 岸田首相は「対話は常にオープン」との立場で、当面は11月の主要20か国・地域(G20)首脳会議などに合わせて首脳会談が開かれるかどうかが焦点となるが、中国側の出方は不透明だ

 

 

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