(古い、オーガナイズされていないリストに、掲載された、不正確な)
打診する予備兵のの動員数は
”あまりにもずさんな”
50~100万人か
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現実は、25万人くらいで、落ち着くのか?
招集から逃げる人々
杜撰(ずさん)すぎる
プーチン政権の動員令
ロシア国内では、部分動員令への抗議活動が繰り広げられている(AP/アフロ)
ロシアのプーチン政権が9月21日に発令した予備役30万人を対象にした動員令が、同国社会に激しい混乱と分断を引き起こしている。隣国との国境では、脱出を図るロシア人の車が列をなし、人々はインターネット上で、夫や子供が動員を免れる方法を必死に探している。 召集令状は、政府の方針とは異なり、軍務経験がまったくない人々や病人、さらには死亡者にも送られている実態が明らかになるなど、政権がなりふり構わず兵力をかき集めようとしている現状が浮き彫りになっている。これまで政権を支持してきた高齢者層も、考えを変える人が出始めたと指摘する声もあり、プーチン政権への怒りがいずれ、〝沸点〟に達する可能性もある。
「隠れるか、投獄されるか、戦地に送られるか」
「老人が行くのか? 子供が行くのか? 女が行くのか? 俺たちが行くしかないんだ」 動員が発令された2日後の23日朝、ロシア極東ボリショイ・カーメニの入隊事務所に集まった男性の一人は現地メディアに、自分を鼓舞するように語った。「すべてうまくいく、必ず戻ってくる」とも語っていた。女性らは周囲で涙を流していた。 動員発令直後から、このような光景がロシア全土に広がった。北東部のシベリア・サハ共和国の村では、旧ソ連さながらに、「カチューシャ」の音楽が流されるなか、村の集合場所から男性らが見送られた。首都モスクワでも、招集された若者が、涙を流す母親に笑顔を見せていた。 しかし、多くのロシア国民らは、〝招集される〟という事実の意味を理解している。 「殺されて土に埋められるのならば、息子は牢屋に入った方がましだ」 「これは戦争ではない。ウクライナ人はわれわれを攻撃していない。プーチンの家族を戦地に送るべきだ」 ロシア南部カフカス地方で行われた軍による徴兵された子供を持つ親族向け説明会で、母親らがそう怒りをあらわにしたという。 「誰もが、たったひとつの話題を話し合っている。それは、どうやって〝夫を隠すか〟ということよ」 ロシア南部チュバシ共和国からの報道によれば、地域の女性らは通信アプリ「テレグラム」や「ワッツアップ」を使い、徴兵から逃れる方法をめぐる情報を必死になって交換しあっているという。「他に何ができるというの? 隠れるか、投獄されるか、戦地に送られるかしか、選択肢はないのよ」と、女性のひとりは打ち明けた
軍務経験ない人々も続々と招集
プーチン大統領は今回の動員は「部分的」なものであるとし、招集の対象は軍務経験のある予備役に限られるとしていた。ショイグ国防相によれば、動員対象は30万人規模であり、政権は一般国民が対象となる「総動員」ではないとの立場だ。 しかし、そのような説明は額面通りに受け取ることはできないのが実情だ。 「出発は今日の午後3時だと言われた」 テレグラム上で配信された、モスクワ市内とみられる映像に映る男性は、茫然とした表情でそう語った。 男性は32歳のIT技術者という。彼は「軍務経験もなければ、軍事上の特別な知識もない。軍事学校を卒業したわけでもない」と述べて、〝軍務経験がある予備役〟が対象であるはずの招集が、自分に行われた事実に唖然としていた。 さらに男性は、モスクワ市内の軍の関連施設に赴くと、その日の午後3時に訓練施設に出発することになっていたことを知ったという。「行かなければ、投獄される。行くしかない」と男性は力なく語った。 ずさんな招集活動は各地で行われた。西部サンクトペテルブルクでは、すでに死亡した人に招集が行われた事例があった。警察官が令状を届けようとしたところ、2013年に死亡した人物だったという。 高齢者や学生、糖尿病患者などにも令状が送られた実態も報じられている。割り当てられたであろう人員をかき集めようと、各地の軍当局がなりふり構わず招集を行っている実態がうかがえる。
あからさまな抑圧と逃げる人々
招集はまた、反体制派への抑圧の手段としても利用されているもようだ。 露人権監視団体「OVDインフォ」の担当者は米メディアに対し、今回の動員に反対するデモに参加して当局に拘束された人々に対し、拘留施設内で直接招集令状が手渡された事例が少なくとも4件あったという。デモ参加者への〝見せしめ〟ともいえる動きだ。 さらにロシアが14年に併合したウクライナ南部クリミア半島では、ロシアの統治に批判的な先住民族が数多く招集されているとの指摘もある。 クリミアの中心都市、シンフェロポリでは、クリミア・タタールと呼ばれる民族の男性が多数、ロシア軍の入隊事務所前に列を作っている動画が撮影された。実態は不明だが、ウクライナ政府はクリミア・タタール人ら1000人以上に、召集令状が送られていると指摘した。 2月のウクライナ侵攻開始以降、ロシアからは若年層を中心にすでに多くの人々が自国を去った。ただ、それらは主に経済的に余裕がある人々で、他の多くの人々は出国を望んでも、資金がないか、家庭の状況などからロシアにとどまらざるを得ないのが実情だった。 しかし今回の動員開始は、どのような無理をしてでもロシアを去ろうとする人々の動きを後押ししている
「彼は義母がガンを患っていたため、治療でやむなくロシアにとどまっていたが、動員開始を受け、家族全員で車により隣国のジョージア(グルジア)に逃げた。子供を連れていたこともあり、20時間以上かかったという」 ロシアから聞こえてくるこのようなエピソードは、彼らを取り巻く環境の厳しさを物語って余りあった。 モスクワから比較的近いジョージアとの国境は、動員開始直後からロシア側からの車が数キロに及び列をなしたことから、各国メディアに報じられた場所だ。これまで家庭の状況で出国が困難だった人々も、自身が戦場に駆り出される危険が迫ったことを受け、国外脱出を決意する状況が生まれている。 動員発表直後には、ロシアからビザなしで渡航できるアルメニアやトルコへの航空券が飛ぶように売れ、価格が暴騰した。ただ1カ月の平均給与の数十倍に跳ね上がったチケットを購入できる人は限られており、脱出を試みる場合、車で移動できる陸路が選ばれる可能性が高い。 ただ、陸路での脱出もすでに容易ではなくなっている。ロシア語メディア「メデューザ」の報道によれば、ジョージアとの国境ではすでにロシア側の警察が招集逃れがないかを調べるために検問体制を強化しているという。 メデューザはさらに、ウクライナ南東部のロシア支配地域で実施されている住民投票が終了した後に、招集対象となりうる年齢のロシア人男性は出国が禁じられる可能性も報じている。
実際の動員数は100万人か
さらに、今回の「部分的動員」を命じた大統領令は、実際には30万人ではなく、100万人の動員を想定しているとの疑念がもたれている。 21日に大統領府のホームページで公表された大統領令は、なぜか「第6項」の次が「第8項」になっており、「第7項」がきれいに抜け落ちている。 反政権的な立場で知られ、ロシア国内での活動ができなくなった新聞「ノーバヤ・ガゼータ」の欧州版は、大統領府関係筋の話として、この部分こそが「100万人動員」を指し示していると伝えた。 30万人という数字はそもそも、ショイグ国防相が口頭で述べた数字に過ぎない。同関係筋によれば、動員の人数はいくども検討が重ねられた結果、100万になった。その数字を公表するかどうかをめぐっても議論が重ねられ、最終的に第7項を非公表にするという決定が下されたのだという。 仮に事実であれば、本当の招集対象者数を低くみせておきながら、実際にはその数倍の兵力をかき集めようとするプーチン政権の姿が浮かび上がる。また、仮にノーバヤ・ガゼータに大統領府関係者が情報を漏らしていたのであれば、政権内部でも情報統制に〝ほころび〟が出ている可能性もある。 ロシアではこれまで、高齢者層であるほど政権への支持が高いとの調査結果が出ていたが、ここにきてそのような状況にも変化が生まれつつあるとの指摘も出ている。 国民を欺き続けるプーチン政権への人々の怒りがいつ、沸点を迎えるのか。その時期は決してまだ見えていないが、確実に近づきつつあるようにみえる。
佐藤俊介
招集から逃げる人々 杜撰すぎるプーチン政権の動員令(Wedge) - Yahoo!ニュース