広がる魔の手に欧州諸国は警戒を強める

NATO職員らを魅了した「社交界の華」はロシアのスパイだった… 調査で明らかになった闇

 
 
 
 
 

シュピーゲル(ドイツ)ほか

シュピーゲル(ドイツ)ほか

Text by COURRiER Japon

イタリアのナポリには、NATOの地中海戦域の構成国軍を統括する、ナポリ統連合軍司令部がある。かつてこの地で社交界の華だったが、2018年に突然姿を消した「ペルー人ジュエリデザイナー」の女性が、実はロシアの情報機関GRUのスパイであったことが明らかになり、欧州で波紋を呼んでいる。

英紙「ガーディアン」によると、この女性はマリア・アデラ・クーフェルト・リヴェラと名乗り、ドイツ人の父とペルー人の母のもとペルーで生まれたと周囲に話していた。

しかし、調査集団べリングキャットがイタリアの「ラ・レプッブリカ」紙、独「シュピーゲル」誌などと合同で行った調査によって、マリア・アデラの「正体」がオルガ・コロボワというロシア出身のGRUのキャリア将校であることが判明した

 

 

 

 

謎の経歴から社交界へ、米兵とのロマンスも


「アデラ」の闇に包まれた経歴を、シュピーゲルは以下のように報じている。

2005年、彼女はペルーで市民登録を試み、出生証明書を提示したが、書類が虚偽であると判明し、ペルー当局に拒否された。しかしその後、欧州では咎められることなく、2006年頃から、ローマ、マルタ、パリなどの欧州各地を転々とした記録が残っている。

2012年にはロシア、エクアドル、イタリアの3つのパスポートをもつ若い男性と結婚したが、2013年にその夫はロシアで謎の「病死」を遂げている。その後2013年にイタリアの永住権を取得した彼女は、NATOの司令部と米海軍の基地があるナポリに落ち着いた。

ナポリでは「ジュエリーデザイナー」として自分の店を設立し、アクセサリーの販売などを行っていたが、ビジネスが特にうまくいっているようには見えなかったそうだ。それでも、彼女はお金に困った様子はなく、ナポリの一等地に居を構えていた。

アデラは、地元の米海軍基地とNATO司令部の職員が多く所属するライオンズクラブに参加し、その幹事を引き受けることにより、米軍やNATOの関係者と親しい関係を築いた。慈善活動やNATOの舞踏会に参加したり、NATOの軍人や米兵らとともに誕生日パーティを開いたりと、社交界の華に登りつめたよう

 

 

 

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