元理事とAOKI前会長の面会場面 東京地検が録音データ複数入手

毎日新聞

AOKIHDの青木拡憲前会長の自宅から、段ボール箱に入れた押収資料を運び出す東京地検特捜部の係官ら=東京都渋谷区で2022年7月27日午後5時2分、手塚耕一郎撮影

 

 

 

 東京オリンピック・パラリンピックのスポンサー選定を巡る汚職事件で、大会組織委員会元理事の高橋治之容疑者(78)=受託収賄容疑で逮捕=とAOKIホールディングス(HD)前会長の青木拡憲(ひろのり)容疑者(83)=贈賄容疑で逮捕=らが、スポンサー選定前に面会している場面をAOKIHD側が録音していたことが関係者への取材で判明した。東京地検特捜部は録音データを入手しており、両者のやり取りを裏付ける物証と位置付けている模様だ。

 

 

  【図解で見る】東京五輪汚職事件の構図  

 

 

関係者によると、元理事と前会長は同社がスポンサーに決まる約1年9カ月前の2017年1月ごろから元理事が経営する東京都内のステーキ店などで面会を重ねていたとされる。録音データは複数あるとされ、面会に同席した前会長の複数の部下が「備忘録」として録音していたという。  元理事と前会長はこの時期に契約に向けてスポンサー料(協賛金)を調整していたとされる。17年夏の録音には元理事、前会長の他に前会長の弟で同社前副会長の青木宝久(たかひさ)(76)、同社専務執行役員の上田雄久(かつひさ)(40)の2容疑者=いずれも贈賄容疑で逮捕=らの発言が含まれていたという。  一方、元理事は逮捕前、周囲に「前会長とは複数回会っており、どの場面でどういう会話をしたか覚えていない」と説明。また、17年1月に元理事が協賛金の額として7億5000万円を前会長に打診し、同年夏までに協賛金5億円、元理事が推薦する競技団体に先払いする選手強化費2億5000万円で合意したとされる疑惑については「7億5000万円を打診した事実はなく、協賛金を事前に調整していない」などと否定している。  特捜部は録音データを基に当時のやり取りの詳細を元理事やAOKIHDの幹部らに確認していくとみられる。  元理事は17年1月ごろから、前会長ら贈賄側のAOKIHD幹部3人からスポンサー選定やライセンス商品の製造・販売で有利な取り計らいを受けたいとの依頼を多数回受け、17年10月~今年3月に計5100万円の賄賂を受け取ったとして逮捕された。元理事は逮捕後も容疑を否認しているという。前会長も逮捕前の特捜部の聴取に、提供した資金の賄賂性を否定していた。

 

【二村祐士朗、井口慎太郎、松尾知典、島袋太輔

 

元理事とAOKI前会長の面会場面 東京地検が録音データ複数入手(毎日新聞) - Yahoo!ニュース