クリミア半島のロシア軍基地に大きな被害 衛星写真で明らかに
ウクライナ南部クリミア半島のロシア空軍基地で9日に起きた爆発は、被害が広範囲にわたり、複数の戦闘機が破壊されたことが、最新の人工衛星写真から明らかになった。 クリミア半島は、ロシアが2014年に一方的に併合。西岸のノヴォフェドロフカに近いサキ軍事基地では9日、複数の爆発があり、1人が死亡した。 ウクライナは、この爆発には関与していないとしている。しかし、今回の新たな証拠によって、この基地を標的に攻撃した可能性が出ている。 アメリカに本拠を置くプラネット・ラブスが発表した今回の衛星写真では、広範囲にわたって焦土と化した大地が見て取れる。 基地の主要滑走路は無事に見えるが、少なくとも8機の航空機が損壊したと思われる。また、複数のクレーターも確認できる。 被害を受けたとみられる航空機の多くは、基地内の格納庫から離れた、開けた場所に駐機してある。
■爆発前後のサキ軍事基地の人工衛星写真 プラネット・ラブスは、ウクライナ全土をカバーする数百もの人工衛星写真をモニタリングしている。同社が発表した爆発前後の写真は、この基地の被害を示す初の独立した証拠となった。これまでは、爆発の影響の詳細は不明だった。 しかし、基地がどのように被害を受けたのかや、爆発の原因はまだ分かっていない。 ロシアは、防火規則の違反によって、倉庫の弾薬が爆発したと説明している。 一方のウクライナも、基地を攻撃したとは発表していない。同国のオレクシイ・レズニコフ国防相も、ロシア兵のたばこの不始末が原因だろうと示唆した。 ウクライナ空軍は、この爆発で複数のロシア戦闘機が破壊されたと述べたが、ロシアはこれを否定していた。しかし、人工衛星写真によって、ロシアの主張が間違っていることが確認された。 イギリスのベン・ウォレス国防相は、爆発が2回あったことから、事故ではなく攻撃ではないかと述べた。その上で、ウクライナがクリミア半島を攻撃する正当性を支持した。
■クリミア半島をめぐって応酬 9日の爆発を受け、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は演説で、戦争が終わる前にクリミア半島を奪還すべきだと訴えた。 ウクライナによるクリミア半島への攻撃は、戦争の激化と見なされる。ロシアのドミトリー・メドヴェージェフ前大統領は7月、ウクライナが同半島を攻撃すれば「審判の日がすぐに訪れる」と警告した。 ロシアは2014年、ウクライナで親ロシア派の大統領が親欧派によって辞任に追い込まれた直後、クリミア半島に侵攻。いくつかの要衝を掌握し、早々に住民投票を行い、同年3月にロシアに併合した。国際社会はこの投票を違法だと判断している。 多くのウクライナ国民が、この時がロシアとの戦争の始まりだと認識している。 8年後の今年2月には、ロシアがウクライナ侵攻を開始。クリミア半島の軍事基地からも部隊を送り込んでいる。 ウクライナでの戦争の、その他の最新状況は以下の通り。 ・主要7カ国(G7)の外相はロシアに対し、同国が制圧したザポリッジャ原発を安全上の懸念からただちにウクライナに返還するよう求めた。同原発とその周辺では先週、爆撃が相次いでおり、ロシアとウクライナは互いを非難している ・ウクライナ軍は、ロシアに制圧されたヘルソン地域の橋が攻撃され、使用不可能になったと発表した。ウクライナはこの地域で奪還戦を行っている ・ロシアでは、今年3月にロシア国営テレビの看板ニュース番組で生放送中に「戦争反対」のプラカードを掲げて拘束されたニュース編集者マリナ・オフシャニコワさんについて、当局が刑事事件としての捜査を開始した (英語記事 Satellite images show Crimea airbase badly damaged)
(c) BBC News
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