仏で“山手線の面積3つ分焼失”ヨーロッパに熱波襲来で山火事相次ぐ…原因に“偏西風の蛇行”【サンデーモーニング】|TBS NEWS DIG
7月21日のヨーロッパの最高気温の分布図を見ると、地中海沿岸が真っ赤に染まっています。 イギリス・コニングスビー(中部) ▼40.3度(19日)ロンドン(南部)7月平均最高気温24度 フランス・カゾー ▼42.2度(18日) ポルトガル・ピニョン ▼47.0度(14日)熱中症などで1000人以上死亡 スペイン・アルモンテ ▼45.7度(13日) 7月半ばから気温が40度前後に達する地域が続出しポルトガルのピニョンでは14日、47度を記録。そのポルトガルでは、熱中症などで1000人を超える死者が出ました。また、イギリスの中部コニングスビーでは19日、史上初めて40度を突破。南部にあるロンドンでも7月の平均最高気温は24度なので、いかに高いかがわかります。 ■熱波で山火事相次ぐフランスでは山手線の面積3つ分以上焼失 さらに、大規模な山火事が各地で発生。少なくとも10ヶ国に及びます。 フランス南西部のジロンド県では2か所で発生した山火事が1週間以上続き、焼失面積は2万ヘクタール、JR山手線内の面積3つ分以上に達しました。また、ギリシャでは19日の当局発表によると、24時間で39か所の火災が発生したといいます。 ■熱波で山火事が起きる原因は…? なぜ、熱波で山火事が起きやすいのでしょうか。実は、湿度が低いヨーロッパでは、気温が高く、乾燥していると自然発火しやすくなります。 乾燥で落ち葉の水分が抜けて、風などで枯葉同士がこすれると、その摩擦で火が起こり、周りの枯葉や木々に燃え移って火災になるといいます。もちろん山火事には人為的な原因もあります。 ■熱波の直接原因は偏西風の蛇行 では、なぜ、今回、猛烈な熱波がヨーロッパを襲ったのでしょうか。 その原因は、偏西風の蛇行とみられます。偏西風は北半球で大きく2本の流れがあり、その南北で、冷たい空気と暖かい空気に分かれています。ヨーロッパで熱波がなかった2021年7月の偏西風をみてみますと、ヨーロッパ南部は偏西風の流れの中にありました。 一方、2022年、熱波が襲来したときの偏西風を見ると、蛇行しています。そしてヨーロッパ南部は…流れの外に出ています。この結果、アフリカ北部の熱波がヨーロッパに流れ込み、猛暑となったと考えられています。 ■なぜ偏西風が蛇行した? 偏西風の蛇行の一因として指摘されているのが、北極の急激な温暖化です。北極の温暖化が進むと、北と南の温度差が少なくなります。そうすると、南北の温度差が大きいときより偏西風の流れが遅くなり、蛇行しやすくなります。 WMO=世界気象機関も、「人間の活動によって北極が温暖化し、偏西風の蛇行が生じやすい条件が強くなっている」と指摘します。 ■影響は世界に広がる日本でも記録的な猛暑 偏西風の蛇行の影響はヨーロッパだけではありません。アメリカや中国などにも熱波が襲来し、各地で40度超えが続いています。日本でも、6月下旬に記録的猛暑となりましたが、これも偏西風が大きく北に蛇行した影響でした。この影響は今後も続き、気象庁は、今年の夏について、 「全国的に高温傾向。猛暑日も平年より増える」と言い、熱中症の対策など、注意を呼びかけています。