日産と三菱自の新型軽EV、電池を冷媒で冷却する理由
富岡 恒憲
日経クロステック/日経Automotive
日産自動車と三菱自動車が2022年夏に発売すると発表した新型の軽電気自動車(EV)「サクラ」(日産、図1)と同「eKクロスEV」(三菱自、図2)――。両車は、同じプラットフォームを使う兄弟車であり、その電池の冷却システムには冷媒式を採用した。日産の新型EV「アリア」では水冷式を適用するのに対して、両軽EVではなぜ冷媒式を選んだのか。そこには軽EVならではの事情があった。
図1 日産自動車の新型軽EV「サクラ」
(写真:日経クロステック)
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図2 三菱自動車の新型軽EV「eKクロスEV」
(写真:日経クロステック)
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軽EVでは、まず、車両価格を抑えることへの優先度が登録車と比べると高い。そのため、高価とされる電池の搭載量をできるだけ抑える必要があった(図3)。その場合、遠出の際には急速充電の頻度が増えやすくなる。そこで、急速充電時に電池の温度上昇を抑える冷却システムが必須だった。これが第1の理由だ。
図3 両軽EVの電池パック
(写真:日産自動車)
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そして第2の理由は、車両価格の低減という観点から、電池の冷却システムにできるだけコストを掛けたくなかった。
加えて、軽EVは、日本国内のみの販売であること。海外でも販売するアリアと異なり、電池を暖めるために冷却システムを使わずに済むことから、車室内冷房の冷媒を流用することへの足かせがなかった。冷房用の冷媒を電池に循環させる場合、電池を暖めることはしにくい
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