ウクライナ軍の南部での橋砲撃「戦況を左右する重要な要素」 英分析

毎日新聞

ロシアとウクライナの国旗=ゲッティ

 

 

 

 ウクライナ軍は19、20日の両日、ロシア軍が支配する南部ヘルソン州の州都ヘルソンにかかる大型の橋を砲撃した。米国から供与された高機動ロケット砲システム(HIMARS)を使ったとみられる。ロイター通信などが報じた。ウクライナ軍は、欧米が供与した高精度の長距離砲による露軍の基地や武器庫などへの攻撃も続けており、南部を中心に制圧された地域の奪還へ反転攻勢を強めている模様だ。  ロイターによると、ロシアがヘルソンに一方的に設置した「行政府」が、攻撃で橋の道路は損壊したが、負傷者はいないと発表したという。この橋は、ドニエプル川の西側にあるヘルソンの都市部と対岸を結ぶ主要な橋で、長さは約1キロ。ネット交流サービス(SNS)には、アスファルトの路面に大きな穴が開いた様子などが投稿された。タス通信は20日、行政当局者の話として、橋は損傷が激しく、通行止めとなる可能性が高いと報じた。  英国防省は20日に発表した分析で、橋は露軍が補給路などに使う渡河地点の一つで、橋を巡る攻防は戦況を左右する重要な要素になるとの見方を示した。  ウクライナ軍は6月25日にHIMARSが前線に投入された映像を公開。7月14日までに南部にあるロシア軍の弾薬庫や検問所をHIMARSなどで相次いで攻撃した。  ウクライナ軍のザルジニー総司令官は18日、米軍制服組トップのミリー統合参謀本部議長と電話協議し、HIMARSが露軍の基地に攻撃を加えて「戦況を安定化させた」と謝意を示した。通信アプリ「テレグラム」で明らかにした。また、ロイターによると、米国家安全保障会議のカービー戦略広報調整官は19日、今後数日でHIMARSを含む追加の軍事支援を発表すると記者会見で明らかにした。  一方、ショイグ露国防相は18日、部隊の指揮官に対し、長距離ミサイルなどの高性能兵器を優先的に破壊するよう指示。HIMARSなどによる戦況悪化を懸念しているとみられる。同省は19日、南部オデッサ州にある欧米が供与した兵器の弾薬庫を破壊したと発表した。

【念佛明奈(ベルリン)、堀和彦

 

 

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