広島高速のトンネル工事で8カ月に6度中断、工期過ぎても進捗6割弱
谷川 博
日経クロステック/日経コンストラクション
広島高速のトンネル工事で8カ月に6度中断、工期過ぎても進捗6割弱 | 日経クロステック(xTECH) (nikkei.com)
広島市内の住宅地の直下で進めている広島高速5号のトンネル工事で、シールド機のトラブルが頻発し、この8カ月余りの間に工事を6度中断している。
2022年7月12日までの工期が過ぎても、掘削を終えた延長は全体の6割に満たない。受発注者間の契約に基づき、今後も工事を続けるが、工期の延長期間と工事費の追加負担を巡って、両者の協議は難航。受注者が7月11日、建設工事紛争審査会に調停を申請する意向を明らかにした。
広島高速5号のシールドトンネル工事の進捗状況。2022年7月11日時点。その4日前の7月7日にシールド機の掘進を停止した。21年10月25日に住宅地区間に入ってから6度目の工事中断となった。図中の「二葉の里」はJR広島駅の北側の起点(資料:広島高速道路公社)
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問題が起こっているのは、広島高速1号(安芸府中道路)とJR広島駅北口を結ぶ広島高速5号(延長約4km)のうち、駅北側の山間部を貫く二葉山トンネル(同約1.4km)の建設工事だ。県と市が出資する広島高速道路公社が発注し、大林組・大成建設・広成建設JVが泥水式シールド工法で施工している。
施工トラブルが頻発しているのは、駅北側の山間部に造成された住宅地の区間だ。シールド機は21年10月25日、駅北側の起点から641mの地点にある住宅地の直下に差し掛かった。住宅地区間はそこから約350mに及ぶ。
最初のトラブルは18日後の11月12日、住宅地区間に入ってから約31mの地点で、摩耗検知装置の配管が破損した。その後、シールド機のカッターや摩耗検知装置などの損傷が相次ぎ、現在までに掘進を6度停止している。
6度目に掘進を停止したのは、22年7月7日。住宅地区間に入ってから約153mの地点で、排出する泥水の中からカッターの一部とみられる幅7cm、長さ20cm程度の金属片が見つかった。5度目の停止位置から約14m前方の地点で、6月24日の工事再開から約2週間後のことだ。
5度目のトラブルでも、排出する掘削土の中からカッターの破片が6個出てきた。最大でも幅5cm、長さ5cm程度で、小さく薄い破片が多かった。調べたところ、外周部のシングルカッター11個のうち1個が破損していた。切り羽から剥がれ落ちた岩塊がカッターに当たったとみられる。
JR広島駅の北側に位置するシールドトンネル工事の起点付近の様子。2022年5月末時点(写真:広島高速道路公社