完売続出のチューナーレステレビ 地上波が映らなくても大丈夫なワケ

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ドンキは6月24日頃から追加生産分が店頭入荷予定(PPIH提供)

 

 

 

 

 

 地上波が映らないテレビが売れている。ディスカウントストア「ドン・キホーテ」を運営するパン・パシフィック・インターナショナルHDが昨年12月に発売した「ネット動画専用スマートTV」は、累計で1万3000台以上を販売。エディオンのオリジナルチューナーレステレビは、先行予約販売を始めた6月17日当日中に50台全てが完売した。なぜこれほど地上波が映らないテレビが売れているのだろうか。

 

 

  【画像】1万3000台以上売れたドンキのテレビ  

 

 

 

最大の要因は、YouTubeやNetflixなどの動画配信サービスの急拡大だ。スマホ情報サイト「Appliv TOPICS」の調査によれば、45.5%が定額制動画配信サービスを利用しており、YouTubeなども含めれば、生活の一部になったと言っても過言ではない。  また、テレビ離れに歯止めをかけるべく、民放公式テレビ配信サービス「TVer」は、4月11日から地上波で放送するテレビ番組をネットで同時配信する「地上波リアルタイム配信」を解禁。その他、各社は見逃し配信やネット配信を開始している。こういったテレビ離れを止める施策が、皮肉にもチューナーレステレビで地上波の番組が見れる状況を作り出したのだ。

テレビだからこその強み

 チューナーレステレビと比較対象になるのが、モニターだ。SNS上では、「モニターや大型端末で事足りる」「PCにつなぐモニターとどう違うのか」といった意見も見られる。  モニターとの一番の差別化ポイントは、画質や音響機能を向上させていることだ。  エディオンの43V型チューナーレステレビは、4Kかつ立体音響と本家テレビとも遜色ない仕様。Google TVを搭載し豊富なネット動画サービスに対応する他、ゲームモードも搭載した。担当者によれば、「スペックなのにお手ごろ価格」「43V型以外にもラインアップを検討してほしい」といった好意的な意見が多いという。  ドウシシャが7月下旬に販売を予定しているフラグシップモデルも「50型4Kモデル」で、大画面と高画質を両立。ユニテクは、高画質なコンテンツに対応するため43インチから4Kにするなどインチによって対応する他、リモコンにNetflix、Amazon Prime Video、YouTube、Google Playへのジャンプボタンを配置、テンキ―はパスワードなどに入力がしやすい仕様にした

 

 

 

チューナーレスへの乗り換えもあり得る?

 チューナーレステレビを一躍有名にしたドンキの「ネット動画専用スマートTV」は、6月24日頃から増産2回目となる追加生産分が店頭入荷予定だという。消費者から一番多い要望はサイズについてで、「もっと大きなサイズの展開を望まれる声をいただいております」といい、今後はこれらの意見を踏まえた新モデルを検討しているという。  現在では、1人暮らしや地上波は見ないとテレビを持っていなかった層、リビングにテレビはありつつ自室用のセカンドテレビとして、人気を集めているチューナーレステレビ。  マクロミルの「最新のテレビ利用動向調査」によると、テレビの保有率は、93.2%(推定人口約7672万人)で、そのうちネット接続率は41.8%(同約3441万人)だった。特に、世代別で見ると接続率は若年層ほど高く、20代以下では過半数に上った。現在、本家テレビの所有者者、特に動画配信サービスを中心に見る層が、チューナーレステレビに乗り換える可能性もある。地上波が映らないテレビが、本家テレビの座を奪う日が来るかもしれない。

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