建設会社の海外受注が前年度比6割増、コロナ禍前の9割に回復

橋本 剛志

 

日経クロステック/日経コンストラクション

 

 

 

海外建設協会(海建協)の会員企業51社が2021年度に計上した海外工事受注額は、前年度比60%増の1兆7855億円だった。22年5月25日に海建協が発表した。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う影響で激減した20年度から大きく回復した。

海外建設協会会員企業の海外受注額の推移。現地法人による受注が日本法人に比べて大きく回復した(資料:海外建設協会)

海外建設協会会員企業の海外受注額の推移。現地法人による受注が日本法人に比べて大きく回復した(資料:海外建設協会)

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 調査の対象は、会員企業が21年4月から22年3月までに海外で受注した1件当たり1000万円以上の工事だ。コロナ禍が本格的に始まる前の19年度の受注額に対して20年度は半分近くに落ち込んだが、21年度は87%まで回復した。

 受注の内訳は、日本法人が前年度比13%増の3901億円、現地法人が81%増の1兆3953億円だ。土木工事の受注額は2.1倍の4278億円だった。

 海建協副会長の山口悦弘専務理事は5月25日の会見で「21年度は経済活動が回復基調にあり、民間建築分野の受注が増えた」と語った。

 資金源や発注者別で見ると、現地企業が発注した案件が最も多く8312億円。20年度比で56%増えた。日系企業の発注案件は30%増の3425億円。現地企業と日系企業のいずれの発注案件も、19年度比で9割近い水準まで戻っている。

海外建設受注の資金源・発注者別推移。2021年度に現地企業が発注した民間案件は前年度比56%増の8312億円だった(資料:海外建設協会)

海外建設受注の資金源・発注者別推移。2021年度に現地企業が発注した民間案件は前年度比56%増の8312億円だった(資料:海外建設協会)

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 現地政府の自己資金による公共事業も4267億円と19年度や20年度に比べて増えた。一方、政府開発援助(ODA)の円借款案件の受注額は19年度比で35%にとどまる。金額は1297億円で、20年度比では2.5倍だった

 

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