ドイツ、ウクライナに対空戦車50両供与 西側諸国と足並みそろえ

毎日新聞

ドイツがウクライナに供与すると表明した自走式対空砲=ドイツ西部ミュンスターで2007年6月20日、ロイター

 

 

 

 ロシアの侵攻が続くウクライナの防衛を巡り26日に開かれた米欧などの関係国の会合で、ドイツが新たに自走式対空砲(対空戦車)50両をウクライナに供与すると表明した。当初はロシアに対し融和的とされていたドイツだが、戦闘の長期化により危機が深刻化する中、重火器の供与にも踏み込んで他の西側諸国と足並みをそろえた形だ。

 

 

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 会合は米国防総省の主催でドイツ西部のラムシュタイン米空軍基地で開かれ、ウクライナのレズニコフ国防相を含む40カ国以上の国防当局や軍の高官らが出席。対ウクライナ支援の現況や計画について協議した。英紙ガーディアンによると、ドイツのランブレヒト国防相は会合で、対空砲の供与に加え、ウクライナ兵に対してオランダが提供する自走りゅう弾砲の訓練を行うことなども表明した。  ドイツはこれまで天然ガス輸入の約半分をロシアに依存してきたことから、侵攻前はロシアに融和的とみられていた。また、北大西洋条約機構(NATO)や欧州連合(EU)の域外の紛争地域への武器輸出を法律などで原則禁じており、当初はウクライナに対して殺傷能力のある武器の供与を拒んでいた。  しかし、こういった慎重姿勢には同盟国からも批判の声が上がったうえ、独政府自身もロシアの侵攻を重く見て方針を転換。侵攻が始まってからは携行式地対空ミサイルなどの武器供与に踏み切った。  重火器については、ショルツ首相はその後も独連邦軍の装備不足やウクライナが西側の武器の扱いに慣れていないことを理由に慎重だったが、連立内の自由民主党や緑の党から供与を求める圧力が強まり、対空砲の供与を決めた。  この日の会合では、英国が対空システム、カナダが装甲車の供与を表明。日本からは岸信夫防衛相がオンラインで出席し、ドローンや有毒物質から身を守るための防護衣、防護マスクなどの供与を決めたことを説明した。  米国のオースティン国防長官は会合後の記者会見で、ウクライナへの軍事支援で連携を強化するため、米欧日など関係国の国防当局による会合を毎月開く方針を明らかにした。今回の形式での会合を定例化し、ウクライナ側の要望に沿った支援を迅速に進めるという。また、戦争の長期化を見据えて、各国が自国の軍事需要を満たしながらウクライナ支援を続けるため、軍需品の調達に関して関係国間で連携を深める考えも示した。オースティン氏は「時間を無駄にはできない。今後数週間がウクライナにとって極めて重大だ。戦争の進展に合わせて動かなくてはならない」と強調した。

 

【ベルリン念佛明奈、ワシントン秋山信一

 

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