米元国連大使が、五輪の中国代表になったアイリーン・グー(谷愛凌)の欺瞞を批判

ニューズウィーク日本版

<「アメリカ代表として自由を支持するのか、中国代表として人権侵害を支持するのか、その中間はあり得ない」と、反中強硬派のニッキー・ヘイリーは断じた>

スロープスタイルで銀メダルを取り、中国国旗を掲げるアイリーン・グー(2月15日、北京)  Lisi Niesner-REUTERS

米国共和党の政治家で、サウスカロライナ州知事や国連大使を務めた経歴を持つニッキー・ヘイリーはこのほど、中国代表のスキー選手として北京五輪に出場し、金メダルを獲得した18歳の谷愛凌(こく・あいりょう、英名アイリーン・グー)を非難した。そして、アスリートは国籍に関して「どちらかを選ばなければならない」と述べた。 ルイ・ヴィトンのモデルとしての動画ほか 谷は、米国サンフランシスコで生まれ育ったアメリカ人でありながら、母親の母国である中国のために競技をするという決断をした。米中対立を背景に、その決断がアメリカの一部では批判の対象になっている。 ヘイリーは、政治ニュースサイト「リアル・クリア・ポリティクス」に対し、「国籍は中国? それとも米国? どちらかを選ぶべきだ」と断言した。「なぜなら、彼女は米国人か中国人のどちらかで、その2つは全く異なる国だからだ」 「すべてのアスリートは、国旗を掲げるとき、自由を支持するのか、人権侵害を支持するのかを明確にする必要がある」とヘイリーは続ける。「その中間は存在しない」 米政府が外交的ボイコットをした国 アメリカ生まれの谷は2019年、中国の代表として北京冬季五輪に出場すると表明。米政府はその後、新疆ウイグル自治区のイスラム教徒に対する中国の「ジェノサイドと人道に対する罪」を理由に、北京五輪の外交的ボイコットを発表した。 谷は五輪後、米スタンフォード大学への進学を予定しており、米国籍を放棄したかどうかを明らかにしていない。中国は二重国籍を認めていない。 谷は2019年、インスタグラムの投稿で、「私は自分の伝統を誇りに思っているし、米国で育ったことも同じくらい誇りに思っている」と語っている。「2022年の北京冬季五輪で、私の母が生まれた国に住む何百万人もの若者にインスピレーションを与えることは、私が愛するスポーツの振興に貢献できる一生に一度の機会だ」 谷の決断は中国で称賛され、中国企業から巨額のスポンサー契約も続々と舞い込んだ。 かくて五輪デビューを果たした谷は、フリースタイルスキー女子ビッグエアで金メダルに輝き、スロープスタイルでも銀メダルを獲得した。ハーフパイプにも出場する予定だ

 

 

 

 

バイデン政権も「中途半端」

米共和党の中でも、最も声高に中国を批判してきた一人であるヘイリーは、捕われたウイグル人たちの画像に言及し、「目隠しされ、自分の身に何が起きるかわからないままひざまずいている人々の画像が頭から離れない」と語った。「それを支持すること、中国を支持することなど、私には考えられない」 ヘイリーは、中国に対する米政府の対応にも異議を唱えている。外交的ボイコット中にもかかわらず、北京五輪を観戦して選手を応援しているジョー・バイデン政権を「どっちつかず」と非難した。 ヘイリーは、「中国は、バイデンが来るかどうかなど気にしていなかった。来て欲しかったのはアメリカの選手だけだ」と述べている。 開会式の夜、米国代表として五輪に出場する選手たちを応援するため、ホワイトハウスは赤、白、青にライトアップされた。 「ジェン・サキ(ホワイトハウス報道官)は、五輪に夢中になって、苦しむウイグル人に背を向けている場合ではない」とヘイリーは続けた。「人権を支持するか、支持しないかのどちらかだ」

キャサリン・ファン

 

 

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