ゲイツ元妻メリンダ、ゲイツ財団向け寄付を大幅減額の可能性
マイクロソフトの共同創業者である元夫のビル・ゲイツとともにビル&メリンダ・ゲイツ財団を創設、幅広い慈善活動を行ってきたメリンダ・フレンチ・ゲイツは、今後は寄付の大半を、同財団以外を通じて行う計画だという。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が報じた。 フォーブスの「リアルタイム・ビリオネアズ・リスト」によると、2月3日時点のフレンチ・ゲイツの保有資産は、およそ62億ドル(約7100億円)となっている。 フレンチ・ゲイツは2021年末、資産の過半を寄付することを誓う「ギビング・プレッジ」に署名した人が毎年公表する書簡を初めて個人で(ゲイツとは別に)作成。そのなかで、次のように述べている。 「これほどの資産に対して、取ることができる唯一の責任ある行動は“可能な限り思慮深く、そしてインパクトを与えられるような形で”、寄付をすることだと考えている」 ただ、フレンチ・ゲイツはこのなかで、寄付する団体については明言していない。離婚前の2010年には、夫妻は保有する財産の大半を、ゲイツ財団を通じて寄付することを誓約していた。 ビル&メリンダ・ゲイツ財団の今後については、夫妻が離婚を発表し、フレンチ・ゲイツが同財団の共同議長を辞任する可能性があることが明らかになった昨年以来、さまざまな憶測が飛び交ってきた。 共同議長として仕事を継続することが不可能だと判断した場合、フレンチ・ゲイツは2023年にその職を退く意向であり、財団側もそれに同意したことが公表されている。 一方、フレンチ・ゲイツは2015年、投資・起業支援会社のピヴォタル・ベンチャーズ(Pivotal Ventures)を起業。米国の女性たち・家庭に影響を与える問題への支援に力を注いでいる。2019年には、10年間をかけてピヴォタルに10億ドルを投じ、男女平等の推進を促す計画を発表している。
■募らせていた夫への不信感
ビル・ゲイツは、少女らへの性的虐待で起訴され、勾留中に死亡した米富豪ジェフリー・エプスタイン被告と親交があったことが知られている。米紙ニューヨーク・タイムズは昨年、フレンチ・ゲイツが離婚弁護士を雇ったのは、そのことが広く報じられた2019年だと伝えている
エプスタインは性的人身売買で起訴
同紙によると、2008年に未成年への売春斡旋(あっせん)の罪を認めたエプスタインは、性的人身取引で裁かれることが決まったが、ゲイツはその決定以降も、エプスタインとの交流を継続。そのことがフレンチ・ゲイツを苦しめていたという。 また、1994年にゲイツと結婚したフレンチ・ゲイツは、ゲイツの資産管理を担当してきたマイケル・ラーソンに性的ハラスメントの疑いがかけられたときの夫の対応に懸念を示していたほか、結婚後も夫がマイクロソフトの女性従業員らに言い寄っていたとされることなどにも、不安を募らせていたという。
■ゲイツ財団への影響は小さい? ゲイツ財団が今後、フレンチ・ゲイツの決断によってどの程度の影響を受けるのかは不明だ。WSJは、フレンチ・ゲイツは同財団を含めた複数の慈善団体・組織を通じて、寄付を行っていく可能性もあると報じている。 フレンチ・ゲイツは2023年に同財団の理事と共同議長を辞任したとしても、個人的にゲイツから受け取る資金で、慈善活動を続けることになる。ゲイツ財団は昨年、彼女が受け取るそれらの資金は「財団とは無関係であり、財団自体が影響を受けることはない」と説明している。 ゲイツ財団の理事会は先ごろ、新たなメンバー4人を迎えたばかりだ。著名投資家ウォーレン・バフェットが理事を辞任した昨年以来、ゲイツとフレンチ・ゲイツの2人になっていた理事会に、初めて新メンバーが加わった。
Anna Kaplan
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