被害女性従業員が涙の告発》「突然顔にグーパンチが飛んできました」ミシュラン掲載有名ラーメン店主が傷害事件で逮捕されていた

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自由が丘にある「中華そば 堀川」 Ⓒ文藝春秋

 

 

 

「こっち来いや、可愛がってやるわ」 「すみません、いたた。すみません」 「どけやカス」 

 

【画像】キャミソール姿だといっそうアザが目立つ  

 

 

この生々しいやり取りは、とある男性が女性に対して2時間にわたって暴行を加えている様子を録音したデータの一部だ。その男性とは、ミシュランガイドにも掲載されている有名ラーメン店「中華そば 堀川」店主のB氏である。暴行を受け悲鳴をあげているのは、同店を手伝っていた20代の元女性従業員・A子さんだ。  この録音データの日付は、2021年9月6日17時頃。後にA子さんは碑文谷警察署に被害届を提出し、B氏は11月30日に傷害容疑で逮捕されている。

ミシュランにも掲載された超有名店

 自由が丘にある「中華そば 堀川」は、「ミシュランガイド東京2022」にも掲載された超有名店である。ラーメン業界の関係者はその勢いに舌をまく。 「大阪の豊中で大人気となった『中華そば 堀川』は、2020年1月に念願の東京進出を果たしました。自由が丘に移転したばかりですが、開店早々から連日行列ができ、あっという間に人気店の仲間入りをしています。大阪時代から『食べログ百名店WEST』に選ばれるほどの人気でしたが、東京移転後も『TRYラーメン大賞2020-2021』の新人賞にぼし部門で1位になり、さらにミシュラン初掲載。今一番勢いのあるラーメン屋の1つと言えます」  その「中華そば 堀川」の店主B氏は、なぜ女性従業員A子さんに執拗な暴行を加えたのか。  A子さんが「中華そば 堀川」で働くようになったきっかけは、マッチングアプリだった。A子さんと店主のB氏は2021年8月頃にマッチングアプリで出会い、意気投合。B氏が語る仕事論などに尊敬の念を抱いたA子さんは、B氏の店で働きたいと伝えた。B氏はそれを受け入れ、翌9月から“試用期間”として働くことが決まった。  これがA子さんにとって地獄の始まりだった――。

 A子さんがはじめて「中華そば 堀川」へ出勤したのは9月3日。出勤初日にもかかわらず店内にはB氏とA子さんの2人だけで、調理はB氏が担当し、A子さんは主に接客を任されることになった。初日から、B氏のA子さんに対する行動は異常だったという。 「私が指示通り完璧に動かないと、Bはすぐに不機嫌になりました。コミュニケーションがうまくとれている感覚がなく、営業中からずっと説教が続いていました。細かいミスでも『なんでそうしたん?』『は?』『端的に伝えてくれ』と常に高圧的な物言いで詰められました。怒りのポイントも異様にこまかく、店に置いてある“記名表”を“記入表”と間違えたり、テーブルを拭くダスター(ふきん)の置き場所がほんの数ミリずれただけで怒るんです。  営業中から怒られっぱなしでしたが、閉店後はそれがエスカレートしました。閉店した16時から翌日の仕込みが終わる21時くらいまで、『あれもダメだった、これもダメだった』と言われつづけ、『生きている価値がない』などキツイ言葉もありました。結局、21時頃に『会話できんから帰れ』と言われて帰らされました。初日から『この人ヤバいかも』という感覚はありました」  それでも初出勤翌日の9月4日、A子さんにB氏から《明日来るんか?》とLINEが届いたという。  3日の閉店後に5時間罵声を浴び続ける中でB氏に「どうせもう来らんのやろ? 無責任なことすんなよ?」と言われていたA子さんは、断ったらまた説教されると怖くなり「行きます」と返信した

 

 

 

開店10分で顔にグーパンチ

 そして2度めの出勤となった9月5日、A子さんは開店1時間前の午前10時からB氏と2人で開店準備を進めていた。そして、事件は開店わずか10分後に起きた。 「この日も3日と同じで、Bとは話が通じている感じがしませんでした。朝からかなりイライラしている様子だったんですが、営業開始10分後に『お前、裏来い』と厨房の奥に呼ばれました。そこはバックヤードで、お客様から見えない位置でした。  言われた通りについて行くと、突然顔にグーパンチが飛んできました。左頬を3発殴られ、その場でうずくまっていたら『お前ほんまに最悪やわ』と言われ、今度は左足に蹴りを1発。すると倒れている私を置いてBはさっさと厨房に戻っていきました。私は急に殴られたショックでしばらく茫然としていたんですが、戻ってきたBに『いつまでそうしてるん? はよ来い』と言われ、従わないと殺されるかもしれないという恐怖が生まれました」

 営業中にもかかわらず、B氏からのA子さんに対する暴行は続いた。A子さんは2度めの出勤ということもあり細かいミスはあったが、殴られるような理由は思い当たらないという。 「殴られた衝撃で耳がキーンとなっていて、店内にはBGMも流れているのでBの小声の指示が聞き取りづらかった。そんな状況だったので反応が遅れてしまうことがあり、『聞こえんかったら聞き返してくれればいい。もう一度お願いしますと聞き返してくれたら普通に言う』と言われました。でもその通りに『もう一回お願いします』と言ったら『お前ちょっと裏来い』って裏に連れて行かれて、『お前何回言わすん』とまた殴る蹴る。Bの言っていることが全然理解できず、途中からは理由もよくわからなくなっていました。私を裏に呼ぶ時は毎回シャドーボクシングをしていて、それも怖かったです……」

「たのしみやなぁ。パーティーやなぁ」

 A子さんが殴られている間も、「中華そば 堀川」には行列ができ外には待っているお客さんが数多いた。それでもB氏は、ラーメンを作る手を止めて接客中のA子さんを「ええから来い」と裏に引っ張っていき、まるで殴ることを優先しているようだったという。 「Bは傲慢な性格で、自分が一番正しくて偉いんだと思っている様子でした。私だけでなく、お客様を見下すような言動もたびたびありました。口コミサイトで『店主の態度が悪い』とよく書かれていますが、実際自分が気にいらないお客様には平気で舌打ちをしますし、『うちのラーメン食べても味が分からない客なんだから』という発言には驚きました」  5日は11時の開店から16時の閉店まで、A子さんは約5時間にわたって断続的に暴行を受け続けた。しかし営業終了が近づいたころ、B氏はさらに衝撃的な発言をした。 「Bは私に対する怒りを抑えきれない様子で『もうすぐ営業終わるからほんまに楽しみにしとけよ。パーティするからな』と笑いながら言われました。閉店が近づくと、ラーメンを作っている時も『もうすぐやなぁ、たのしみやなぁ。パーティやなぁ』とぼそぼそ呟いていました。私はBのパーティという言葉に嫌な予感はしていましたが、閉店後にその意味を思い知りました」  そして「中華そば 堀川」の閉店後、A子さんをさらなる地獄が待っていた。 #2 へ続く。 「指いらんやろ、どうせ何もできひんねんから」ミシュラン掲載有名ラーメン店主が従業員女性に壮絶な暴行《録音データあり》 へ続く

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