”あっぱれ!”
YouTubeで、
日本人じゃない人々が、開封しているのを見た覚えがあります。
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お菓子のサブスク」で年商40億。困難だらけを乗り越えたタフ経営
ICHIGO創業者の近本あゆみ。大量の商品があふれる倉庫から、日本のお菓子が海外に送られる
コストパフォーマンスに優れ、縛られない気軽さから広がりを見せる「サブスクリプション・ビジネス」。今やさまざまな業種で導入されているが、その中で注目されるのが、世界約180の国と地域に、日本のお菓子や雑貨を詰め込んだボックスを届け、起業6年目で年商40億円を突破した「ICHIGO(いちご)」だ。
投資家の支援を受けず、アイデアとタフさでサブスクビジネスを成功に導いた。その要因を代表取締役社長の近本あゆみに話を聞いた。 ICHIGOは、日本の駄菓子やスナック菓子、チョコなど5つの種類を箱に詰め込んだボックス「TOKYO TREAT」のほか、テーマと商材の異なるサブスクリプションサービスを提供する。
2015年の起業当初から現在まで、世界に届けたボックス数は、累計200万個。
定期購買者数も、メルマガ会員を含め180万人を超えた。
売上も、それに合わせて右肩上がりと好調だ。
日本のお菓子を海外へ。
ともすれば、個人輸出のスモールビジネスの印象があるが、近本がこのお菓子で起業しようと決めたのは、銀座で見かけた光景がきっかけだった。
それまでは、リクルートで通販の新規事業に携わっていた。通販の面白さにのめり込むが、事業は順調とはいかなかった。それならば、「自分で通販の会社をやろう」と起業を決意するのだが、売る商品やターゲットはまだ白紙だった。 そのとき目にしたのが、銀座の街を賑わす訪日客だった。彼らがお土産として日本の物品を爆買いしていた光景を見る。「海外向けに日本の物を売れば、ビジネスチャンスがあるかもしれない」。
外国人が爆買いしていたのは、
化粧品、
家電、
キャラクターグッズ、
そして、「お菓子」だった。
消費の回転が早く、需要のあるものを探していた近本は、そのお菓子に目をつける。 当時、米国では「サブスクリプション・ボックス・ブーム」が起きていた。生鮮食品とレシピのボックスや、男性用カミソリの替え刃とシェービングフォームのボックスなど、日本にはまだない商材のビジネスの形があった。「このモデルでお菓子を売れば、絶対に需要があるはず」と狙いを定め、起業した。
■地味で過酷な作業、這いずりまわった創業期
「菓子問屋さんの開拓、仕入れ、商品の撮影、梱包、海外配送まですべての作業を2人でやっていました。起業当時は、本当に苛酷でしたね」 上品な笑顔と明るさにあふれる近本からは苦労知らずの成長イメージがあったが、そうではなかったようだ。 自宅のリビングでインドネシア人のパートナーと2人、毎日、梱包と配送作業に追われた。仕入れから梱包、配送まですべて一貫して行う「家内工業」的なやり方だ。前近代的とも言えるが、自社で運営すれば、顧客のニーズに素早く対応でき、改善点が修正できる。これはアウトソーシングする競合他社とは違う、今も変わらないICHIGOのこだわりになっている
一見さんお断り。誰も商品を売ってくれない
起業当初は、すんなり決まると思っていた仕入れ先の開拓にも、大きく手を焼いた。 「始めた当初は誰も商品を売ってくれませんでした。問屋さんからは一見さんお断りと言われたり、とても用意できない金額の保証金が必要だったり、仕入れ先を開拓するのは本当に難しかったですね。とにかく営業回りの日々でした」 保守的な菓子業界の壁にぶつかった。用意できない商品があると、街の小売店で買ったものを詰め替えて商品を送ることさえあった。1日1個の発送から次第に30個に増え、半年も経つ頃には販売数が対前月比300%増になっていった。 積み上げた実績は信頼へと変わり、仕入れ先ルートも現金問屋から大手卸業者、大手メーカーへと拡大。今では、提携先は20社以上に上る。ついには大手菓子メーカーと提携し、ICHIGOオリジナル商品の販売も12月から開始する。 「ここまで成長するとは、想像しませんでした」というが、近本には起業当初から絶対にうまくいくという強い確信があった。世界中で日本のアニメや日本食ブームが巻き起こり、日本びいきや日本に関心を持つ外国人が増えていたことも追い風になった。「日本の物は売れるはず」。銀座で見た光景のあの時から近本はブレていない。 近本あゆみ◎新卒でリクルートに入社。2年目で国内向け通販事業の立ち上げた。2015年に起業し『TOKYO TREAT』をスタート。軌道に乗った現在、更なるサービスの拡充を計画している。
■創業6年目に最大の危機
コロナ禍で国際配送が全面ストップ
「国際配送の規定が変わり、300個が返送されたといったつまずき程度のトラブルはありましたが、やはり、コロナの壁は大きかったですね」
2020年3月以降、世界各地で国際配送が相次いで全面停止となり、
毎月のようにボックスが返送され、
多い時で最大2万個が自社倉庫を埋めつくした。
カスタマーサービスに届く苦情は、
一日2千件に。
国際配送は、配送料の安い郵便局に頼っていたため、海外へ配送しようにも方法がない。
最大の難局を前に、近本の動きは素早かった。
急遽、民間業者に当たり、5月には配送を再開させる。
約1ヶ月で会社最大の危機を乗り切ったのだ。
「自分が頑張れば頑張るほど、いい結果があとから出てくるというのがわかっていましたから、あきらめるという選択肢は一切ありませんでした」。
近本は、自身の性質について「足を動かし、動きながら考えるというマインド」だと自己分析する。柔らかな物腰で華奢な容姿から想像できない、彼女の「粘り強さ」と「瞬発力」が会社の危機を救った。
■社員の7割は外国人。
日本人には理解が難しい文化 ICHIGOが急成長を果たしたのは、海外の顧客のニーズに応えている点にある。
品揃えはもちろん、パッケージのデザインやSNSでの訴求には日本人っぽさが無く、むしろ海外から見た日本というイメージが強い。
それらを支えているのが、社員の7割を占める外国人社員だ。
外国人を積極的に採用する理由について、近本は「海外向けのビジネスの場合、
カスタマー接点は、英語が得意であっても日本人では無理です。
外国人のニーズをくみ取った商品選定やSNSへの投稿は、同じ文化を共有している外国人でなければうまくできません」と説明する
180万人の声を拾って生かす
カスタマーサービス、デザイナー、マーケッターは全員、世界10カ国から訪日した外国人。
週一の商品会議で彼らの視点が活かされる。
例えば、
日本人バイヤーが推す「甘じょっぱい味」は「あいまいな味」、
季節感を表す「繊細な味」が「ぼやけた味」というように、
外国人のマーケッターがダメ出しする。
こうした異文化間の味覚の違いを埋める作業が1ヶ月かけて行われ、最終的に商品が決まる。 また、
ICHIGOの強みは、
カスタマー・サーベイに協力する180万人の登録者が世界各地にいることだ。
コロナ禍で始めた日本の和菓子を詰めたボックス「Sakuraco」は、サービスの登録者や会員の「トラディショナルな日本を知りたい」という声から生まれた。
社内では当初、「和菓子は地味すぎて海外で良さが伝わらないのではないか」という声もあったが、蓋を開ければ、伸び率は170%増と予想以上の売れ行きに。
近本は「コロナ禍で痛手を受けている国内の和菓子店に新しい販路を提供することで、地域活性化のお手伝いができれば」との思いで、事業にゴーサインを出した。
今では、Sakuracoは、TOKYO TREATと並ぶ人気ブランドに成長。
この2つのボックスで売上の7割を占めている。
■「日本の物ならICHIGO」の、
実現に向けて ICHIGOは現在、
主力商品の
「TOKYO TREAT」を筆頭に、
和菓子の「Sakuraco」、
キャラクターグッズを詰め合わせたボックス「YumeTwins」、
自社開発したUFOキャッチャーアプリゲームなど6事業を展開。
1年ごとに新規サービスを立ち上げている。 今後の目標は、アップセル展開とボックスのカスタマイズ化。事業拡大の時期に入った今、ベンチャーキャピタルからの資金調達も選択肢として視野に入れている。
将来的には、
「『日本の物を買うなら、ICHIGOのアプリ』と世界で認知される企業になる」こと。
「会社経営はやればやるだけ、絶対に伸びる」と話す近本にとって、その目標の実現も、あとひと押しなのかもしれない。
Forbes JAPAN 編集部
「お菓子のサブスク」で年商40億。困難だらけを乗り越えたタフ経営(Forbes JAPAN) - Yahoo!ニュース
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