オミクロン株」にアフリカでの検出以前にロンドンで感染したとイスラエル人医師が証言

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クーリエ・ジャポン

ロンドンの地下鉄の車内ではマスクを着けていない人もいて驚いたとイスラエル人医師は語るPhoto: Hollie Adams/Bloomberg via Getty Images

 

 

 

新型コロナウイルスオミクロン株に世界で最初に感染したひとりであるイスラエル人医師のエラド・マオールは、英国ロンドンでウイルスに感染したと信じているという。大きな医療カンファレンスがロンドンで開かれ、マオールは1200人以上の医療関係者と共に出席していた。

 

  ロンドンでオミクロン株に感染したと証言するイスラエル人のエラド・マオール医師 

 

 

マオールの公表は、この変異株がイギリスで初めて確認された時点よりもっと前から存在していたかもしれないという懸念を生むものだ。ほかの医療従事者たちがその変異株にさらされていた可能性も示唆される。 「ガーディアン」紙の独占取材に答えたマオールは、イスラエルのテルアビブ近郊にあるシェバ医療センターの心臓専門医だ。45歳、3児の父で、テルアビブ大学の心臓学准教授でもある。

南アで検出が報告された頃にはすでに感染していた?

マオールは11月19日、ロンドンに到着し、ロンドン北部にあるホテルに4泊したという。ロンドン東部にあるコンベンションセンターで開かれた3日におよぶ会議に出席したあと、11月23日にイスラエルに帰国した。それから数日のうちに症状が出はじめ、11月27日に陽性反応が出た。 ウイルスへの曝露から発症までの期間(潜伏期間)は最長で14日と考えられている。ただし症状は通常だと曝露から5日以内で現れる。 いまのところマオールの症状は軽く、発熱と筋肉痛と喉の痛みなどがあるという。 自己隔離中の自宅から取材に答えたマオールは、ロンドンから戻ったあと、自分はおそらく69歳の同僚にウイルスを感染させただろうとも語った。この同僚からは、オミクロン株の陽性反応が出ている。 ファイザー/ビオンテックの新型コロナワクチンを3回接種済みだというマオールは、自分がいつ、どのように感染したかは定かでないが、イギリスで感染したことは確信している。 「ロンドンでオミクロン株をもらったのは確かです。興味深いことです。というのもそれは、(12月1日から)10日前のロンドンでの話だからです。じつに、じつに早期です」 この事実の発覚は、新変異株がどれくらい早くからイギリスやヨーロッパに存在していたのかについて、新たな疑問を生むことになるだろう

 

 

南アへの渡航歴なしの感染例としては初

マオールはイギリスとイスラエルの旅行規定どおり、イギリス滞在2日目の11月20日にPCR検査を受け、医療カンファレンス1日目の11月21日にも再び検査を受けた。 11月23日、カンファレンス最終日に出席したあと、同日午後9時ヒースロー空港発の飛行機に乗った。翌11月24日早朝にテルアビブに到着し、3度目のPCR検査を受けたが、また陰性だった。 「会議の最終日に、おそらく会場か空港で感染したというのが唯一の妥当な説明です」とマオールは言う。 「だから3回目のPCR検査が感染を検出するには早すぎたというわけです。なので感染したのは会議2日目か3日目ということになります。感染してからPCRで陽性反応が出るまでには時間差がありますから」 帰国時のPCR検査の結果が陰性だったことからマオールは医療センターでの仕事に戻ったが、それから発症し、4回目のPCR検査で陽性反応が出たという。 マオールはイスラエルで3人目のオミクロン株感染者、南アフリカへの渡航歴なしの感染例としては1人目になった。

ワクチン接種していなかったら…

オミクロン株に世界で最初に感染した人のうちに数えられるのは「奇妙な感じがする」とマオールは言う。 「医師なので、脚光を浴びることには慣れていませんから」 マオールの妻もロンドンに一緒に行ったが、彼女も子供たちも陽性にはなっておらず、発症もしていない。 「そのことではホッとしています。この変異株の感染力は、私の知っているデルタ株の感染力と完全に、もしくは極端に異なるものではないと考えています」 マオールはワクチン接種と、できるところでは追加接種を強く勧める。 「その大切さは強調してもしきれません。私の家族や友人にももっとひどい結末が待っていたかもしれません。ワクチンを受けていなかったら症状はもっと悪くなっていたことは間違いありません」

Andrew Gregory