骨材不要の石炭灰コンクリート、強固な防潮堤を短工期で実現
氏家 加奈子
フリーライター
安藤ハザマが独自開発した、石炭灰を原料とする「アッシュクリート」が、福島第1原子力発電所の津波低減対策で着底させたメガフロートに引き続き、建屋内への津波流入の抑制で新設する防潮堤にも採用される。2021年6月に着工し、23年度末の完成を目指す。
アッシュクリートを活用した人工地盤材料(写真:安藤ハザマ)
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アッシュクリートは、
火力発電所の燃焼副産物である石炭灰に
海水と
セメント、
石こうを
混ぜて作るコンクリート。
砂や砂利が不要で、
硬化促進剤として海水を利用するため、
通常のコンクリートよりも低コストで製造できる。
アッシュクリートは、大規模な漁場創出のために
海底への人工山脈造成用のブロックとして
1995年に採用されたのを皮切りに、
様々な土工事に用いられてきた。
ここ数年は、年間10万t程度の石炭灰をアッシュクリートに使っている。
今回の防潮堤工事では、福島第1原発から20kmほどの距離にある県内のJERA広野火力発電所の石炭灰を使う。
工事箇所の近くにはメガフロート用にアッシュクリートを製造したプラントがあるので、そのまま継続して利用できる。
福島第1原子力発電所の敷地内にあるアッシュクリートの専用プラント(写真:安藤ハザマ