(いくら、最終年の今年が、良くなったとはいえーーーー)
どぶにすてた5千億円を、
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早期退職制度に2000人が殺到したホンダの舞台裏
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早期退職希望者の傾向は?
今年4月にホンダのトップに就任した三部敏宏社長。就任スピーチでは、2040年までにホンダの新車における電気自動車と燃料電池車の販売比率をグローバルで100%になるよう目指すと宣言。
今夏、55歳以上を対象にしたホンダの早期退職制度に予想を上回る2000人もの応募があったとのニュースが流れた。その背景には社内のどのような事情があったのか? 自動車評論家、国沢光宏氏によるレポート。
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人事も驚いたという! ホンダが55歳以上の社員に対し早期退職を募ったら、1000人規模で考えていたのに2000人も申し出があったそうな。ホンダといえば「明るいニュース」や「ワクワクするような話題」こそ少ないものの、業績は決して悪くない。直近を見てもアメリカでの販売が大幅に回復しており不安材料無し。なぜ早期退職を募り、大量の希望者になったのか? このあたりにホンダの実状が見えているのかもしれない。 まず早期退職を希望した人の傾向を取材してみると、最大勢力は「妖精」などと呼ばれている人のようだ。新型コロナ禍が始まる前で言えば、朝6時に出社し、終日「何をしているのか解らない」まま過ごし、就労規定時間の15時を過ぎたらすぐ帰宅する人達だという。新型コロナ禍によりテレワーク化したため、もはやそういった人達は本物の妖精になっていたと聞く。ホンダに限らず、どの会社にもいるかもしれません。 ホンダの場合、給料は就労年数によって決まってくるため、55歳以上の仕事をしていない人達にも巨額な人件費を払っているという。本人達からすれば、55歳以後を“手応えの無い仕事をしながら会社で過ごして貰う給料”と、早期退職してその分を先払いして貰うのは同じ。ちなみにホンダは電気自動車への注力を発表しているが、妖精の皆さん、意欲が低いため、新しい仕事も回せない状況だったようだ。 続く早期退職希望者のタイプは「会社に逆らって社内で干されている人達」。これまたどこの会社にもいると思う。優れた能力を持っているのに組織の中に居られない人のこと。上司と当たったりチームワークが出来ないと、会社では仕事が出来ない。若い頃は何とか受け入れる部門もあるが、55歳以上になると面倒くさくてどこも引き受けてくれず窓際になってしまう。会社からすれば「居なくなって欲しい人」の筆頭か?
電動化に向けての課題
ただ才能ある人も少なくないため、主として新興国のメーカー(一昔前なら韓国。今や圧倒的に中国)から引っ張られる人もいるという。日本の自動車技術の流出という手痛い損害になってしまうということから、ホンダ社内でも問題となっているようだ。確かにクルマ作りのベテランを各部門から20人くらい揃えたら、けっこう良いクルマが作れてしまうことだろう。ホンダというより日本の自動車産業にとって厳しい。 とはいえ現実的には妖精も、干されている人達も、高給を取っているのに貢献度で評価したら極めて低い。年収1500万円で働かない人を雇っているより、年収750万円払えばバリバリに働いてくれる人を2人雇用した方が会社にとってみたら有用。2人雇用して1人使えない人材だったとしても、仕事をしない高給者に2人辞めて貰った方がずっといいと言う判断だと思う。それくらいホンダ社員の高齢化は大問題だったようだ。 ちなみにホンダは三部敏宏社長の新体制でエンジン車から電気自動車への転換を図る方針を打ち出したが、電動化に向けての技術陣が圧倒的に薄いという。前述の通り経営状況は悪くない。今のうちに、1)効率の悪い高齢者に辞めて貰い若返りを目指す。2)電動化のため新しいジャンルの技術者を揃える、という2点が急務なのだろう。2040年のフル電動化車両ラインナップに向け大きく舵を切ったという認識でいいと思います。
文=国沢光宏
写真=本田技研工業
(ENGINE2021年11月