日本経済の六重苦、「全体として改善」と分析 経済財政白書で内閣府
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内閣府は24日に公表した今年の経済財政白書で、2011年の東日本大震災後に日本経済の課題とされていた円高などの「六重苦」について、「全体として改善」したとする分析を掲載した。
一方で、未解決の部分も残り、デジタル化の遅れが新たな課題として生じているとも指摘した。
六重苦は、
(1)円高
(2)経済連携協定(EPA)の遅れ
(3)法人税高
(4)労働市場の硬直性
(5)環境規制
(6)電力不足・コスト高を指す。
内閣府は、
(1)は解消、
(2)(3)はおおむね解消されたとする一方で、
(4)(6)は未解決と分析。
(5)は、中心となる温暖化対策が競争の阻害要因から競争の前提になり、状況が変わったとして評価を避けた。
具体的にみると、
(2)は18~20年に欧州連合(EU)や米国などとの大型のEPAが発効し、輸出入に占める割合が11年末の2割弱から21年1月末には約5割に上昇。20年11月に署名した地域的包括的経済連携(RCEP)が今後発効すると、その割合は8割程度に達するという。
一方、(4)は女性や高齢者の労働参加が進んだものの、労働移動を通じた産業、業種構造の転換などの前向きな労働移動を阻害する硬直性が残っているとした。
(古賀大己)
朝日新聞社