お嬢様学校で抑圧されて…帰国子女の女子高生が26歳でソープ嬢に転身するまで
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ここ数年、パパ活というカジュアルな呼称で性商売に手を出す女性が増えている。 パパ活アプリを使って資金援助してくれる男性を探し、食事やデートあるいはその先の行為を提供して稼いでいるのだ。 【写真】16万円で初めて体を売った25歳大卒美女の絶望的な「その後」 彼女たちはなぜ、パパ活に手を出してしまうのか。記事前編では、14年間ずっと誰かしら「パパ」がいるという33歳人妻のインタビューをお届けした。後編では私立校出身のお嬢様でありながら26歳で年収2,000万円を稼ぐソープ嬢となった彼女の人生と価値観について探っていく。 ※本記事は、パパ活女子がインタビューで語った内容を一切脚色せずにまとめたものです。決してパパ活を推奨する意図ではないことを注記します。
「お嬢様学校」が合わず、アイディティクライシスに陥った10代
---------- CASE9 名前:華(仮名) 年齢:33歳 職業:専業主婦 パパ活歴:14年(パパ活アプリは未使用) ---------- 19歳で資産20億を保有するという『足長おじさん』に見染められ、渡されたブラックカードで贅沢三昧していたという華さん――。 インタビュー冒頭で語られたこのエピソードだけでも、彼女の10代が平凡でなかったことは容易に想像できる。 華さんはアメリカ人の父親と日本人の母親を持つハーフだ。 父親は建築家として活躍しており、米国で暮らしていたが、子どもたちを日本の学校に通わせたいという母親の強い希望もあって、華さんが13歳の時に家族全員(父・母・華さん・妹)で日本へ移り住んだ。 東京都心の、お嬢様学校として名高い中高一貫校に帰国子女枠で合格したところまでは順調だった。 しかしこのお嬢様学校が、華さんにまったく合わなかった。 社交的で明るい性格であるため友人関係には苦労しなかったが、個性を許さない校風が窮屈で仕方なく、事あるごとに注意を受けていたそうだ。 教師から「そんなに日本が嫌なら自国に帰ればいい」と無神経な言葉をかけられたこともあった。 授業中に質問をしただけで「ペースを乱すな」と怒られる、解答だけで判断され過程を評価してもらえない試験、理由なく強いられる校則……。 これまでとは真逆ともいえる環境に置かれ、華さんはどう振舞うのが正解なのか、自分がどうあるべきかを完全に見失ってしまった
お金欲しさに「制服をブルセラで3回売った」高校生活
そして高校生になると、新たな問題が彼女を待ち受けた。 お嬢様学校であったがゆえ、お金のある家で育った同級生がほとんどで、彼女たちの金銭感覚についていけなくなってしまったのだ。 学校帰りに立ち寄るカフェ、流行りのコスメ、ブランド物の財布や最新の携帯……。高校生とはいえ、いや高校生だからこそ、皆と同格の日常を送る必要があった。 華さんの家も一般的には裕福な部類に入るのだが、同級生たちのレベルには及ばない。 加えて彼女の両親は子どもに贅沢をさせる教育方針ではなかったため、頼み込んでもお小遣いを増やしてもらえなかった。 そこで華さんの頭に浮かんだのが……ブルセラショップだ。 90年代前半の最盛期には100億円規模とも言われたブルセラ市場は、青少年育成条例改正により徐々に衰退したが、華さんが高校生だった当時は依然として多く残っていた。 しかも彼女の通う学校は制服が可愛いと有名でマニアが多く、20万円の買い取り価格がついていたのだ。 相変わらず学校は好きになれなかったし、教師たちとの折り合いも悪かったから、愛校精神などは微塵もない。余裕でお金欲しさが勝った。 結局、親には「失くした」と嘘をついて、彼女は3度に渡って制服をブルセラに持ち込んだという。 当然ながら、母親は娘の嘘を信じなかった。ちなみにこの頃の父親は不在がちで、あまり深く関わる機会がなかったらしい。(華さんは後から知ったが、当時、父親には愛人がいたようだ) 娘の素行を心配する母親は小言が増え、華さんも反抗するものだから、次第に親子関係は悪化。顔を合わせれば口喧嘩ばかりで家に居づらくもなっていった。 さらに彼女の立場を悪くしたのが、3歳年下の妹だ。 姉妹は同じ一貫校に通っていたのだが、問題ばかり起こす華さんと違って、妹は優等生かつ成績も良かったのである。何かにつけて比べられては「どうしてあんたは」とため息をつかれてしまうのが、彼女をますます投げやりにさせた。 高3になり進路を決める時期になっても遊んでばかりの華さんに、母親は呆れ顔でこうも言った。 「あんたなんか、大学に行ってもお金の無駄遣いよ」 売り言葉に買い言葉で、つい「だったら行かない」と啖呵を切り、実際に彼女は大学に進学しなかった。 だがこの時の決断を、華さんは後から激しく後悔したそうだ
初体験で性に目覚め…「いろんな人とセックスして何が悪い?」
また高校時代、彼女の性に対する考え方を大きく変え、のちにソープ嬢として働くきっかけとなった出来事が起きている。 ませていた彼女は当時から大学生や社会人の男性たちと交流があり、その中の一人と初体験を済ませているのだが……その経験が、彼女的にガッカリだったというのだ。 海外育ちで、かなり夢見がちだった自覚はあるものの、彼女が理想として思い描いていた初体験とはまるで違っていた。 ムードも何もない安ホテルであっさり抱かれ、相手の男は事が済むとすぐにタバコを吸い始めたのである。 ――なんだ、こんなものか。 彼女は性に対し「別に、大事に守るようなものではないな」という考えを持った。そしてその一方で、性行為に対する興味や探究心はむしろ大きくなった。 経験を増やし、いろんなセックスをしてみたい――そんな風に考えたのは、華さんにとってはごく自然な発想だった。 しかも、若く綺麗な彼女に言い寄る男性はいくらでもいて、相手に困ることもない。 誰か一人に絞って束縛されるのも面倒だったから、特定の彼氏は作らず、欲望のままに体の関係を持つようになったのだが……そんな彼女に周囲は好奇と批判の視線を向けた。 「ヤリマン」などと陰口も叩かれたし、見かねた母親から「やたらに体の関係を持つなんてはしたない」と注意されたこともあるという。 しかし彼女は一体何がいけないのか、さっぱりわからなかった。 女にだって性欲はある。欲求に従い、よりよいセックスを求めることを、なぜ「はしたない」などと咎められなければいけないのか。 納得できないことに従うのは嫌だったから、華さんは周囲の苦言には耳を貸さず自身の考えを貫いた。 「豊富な性体験を重ねたことで、自分がどういうセックスを求めているかを深く知ることができた。有意義な経験だったと思います」 インタビュー中、華さんは過去を振り返りつつしみじみそう語っていた。 日本人の多くは受け容れられない価値観かもしれないが、性欲の強弱、興味の度合いは性別に関わらず人それぞれだ。 多くの女性とセックスしたい男性がいるように、多くの男性と関係したい女性もいる。ただそれだけのことだと言われれば、確かにその通りではないだろうか
19歳で最初の「パパ活」…金銭感覚の崩壊
高校を卒業してまもなく、19歳の時、華さんの前に最初のシュガーダディ……日本でいうところの「パパ」が現れた。 例の、資産20億を保有する大富豪で、まだ10代だった彼女を高級店にエスコートしたりプレゼントを贈ったり、さらにはブラックカードまで渡されていたというから驚く。 ちなみにこの男性は当時の年齢で50代半ば。妻もいるし、華さんと歳の変わらない娘もいたらしい。 彼は華さんをいたく気に入り、体の関係は一切なしで、父親とも恋人ともつかない距離感で彼女にお金を使い続けた。 一体、彼のモチベーションはどこにあったのか……? 率直な疑問を尋ねてみると、彼女は小さく首を傾げ、あっけらかんとこう答えた。 「ハーフで奔放で面白い女と、ただ遊びたかったんじゃないですか。あとお金が有り余ってて、人生に飽きてたんだと思う」 真相は不明だが、一度だけキスされそうになったことがある以外(もちろん阻止したそうだ)は下心を感じたこともないらしい。 だが、この「足長おじさん」との出会いが、華さんの人生を大きく狂わせた。 日用品も化粧品も洋服も、欲しいものはすべて彼に渡されたブラックカードで支払う。現金が必要になればキャッシングで引き出す――20代前半でそんな生活を送ってしまったら、誰だって金銭感覚が崩壊する。 もちろん、華さんも例に漏れなかった。
売れっ子ソープ嬢が「パパ活」を絶対にしない理由
24歳で「このままではダメだ」と改心した華さんは、けじめをつけてブラックカードを返却している。 生まれ変わると決め、知人の会社で一度は正社員として働き始めたものの……しかしながら結局、月給20万円程度の生活を続けることはできなかった。 ――無理に会社員をしなくても、もっと自分に向いている&稼げる仕事があるはず。 そう考えるようになった彼女は、26歳で、江戸時代最大の遊郭として栄えた吉原(現在の浅草寺裏)でソープ嬢になる覚悟を決めた。 「女性がセクシュアリティを使った仕事をすることって、決して恥じるような話じゃないと思うんです」 職業に貴賎はない。頭脳を使うか体力を使うか女性の魅力を使うか。どの武器を使って稼ぐのが最も自分に向いているかを考えた時、華さんの得意分野はセクシュアリティだった。 それゆえ彼女は、自ら積極的に性商売を選んだ。そして仕事として真剣に、向上心を持って取り組んだ。 接客スキルや営業ノウハウはもちろんのこと、顧客にいつでも最良のサービスを提供できるようメンタルコントロールにも力を入れたという。 『TED Talks』や『Podcasts』で心理学やセックスワークに関する番組を視聴したり、カウンセリングにも定期的に通ってストレスを溜めないよう心がけた。 また『Red Umbrella Fund』や『SWASH』など、セックスワーカーの人権保護を目的とした活動団体が発信する情報をこまめにチェックし知識を身につけた。 こうした努力の甲斐があり、華さんは吉原のソープ嬢として年収2000万円を稼ぐ売れっ子にまで上り詰めた。 ……おそらく彼女であれば、パパ活で体を売ることもわけなかっただろう。 しかし華さんはパパ活アプリで体を売るような真似をしたことがないし、今後もする気はないと言う。 「私は合法に稼ぎたい。そこに関しては潔癖なんです」と笑顔で言い切ったセリフに、彼女なりのプライドが垣間見えた。
安本 由佳(作家



