性犯罪規定の見直し、法制審で議論へ 「不同意」処罰や時効撤廃など

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毎日新聞

上川陽子法相

 

 

 

 

 上川陽子法相は10日の閣議後の記者会見で、性暴力被害の実態に応じた法制度の見直しを、16日の法制審議会(法相の諮問機関)の総会で諮問する方針を明らかにした。強制性交等罪の構成要件や公訴時効の見直し、地位・関係性を利用した性暴力を罰する規定の新設などを幅広く論点とする見通し。  現在の刑法は性犯罪の構成要件を、強制性交等罪は「暴行や脅迫を加える」、準強制性交等罪は「心神喪失や、抗拒不能(身体的・心理的に抵抗するのが著しく難しい状態)に乗じる」としている。  被害者や支援者からは、構成要件が障害となり、同意のない性的行為が処罰対象から漏れているとの意見が出ている。このため法制審では、相手の同意を得ていない性交について処罰する「不同意性交」の導入や、要件の明確化が議論される可能性がある。  公訴時効の撤廃や延長も諮問に盛り込まれた。特に未成年の被害者は、自身の被害を認識するのに一定の時間がかかることもあるとの指摘があり、こうした観点からの検討もなされるとみられる。  また、「教師・指導者と子供」や「施設職員と障害者」のように、優越的な地位や関係を利用した性暴力も社会問題化しており、こうした行為を処罰する規定の新設についても意見が交わされる見通し。  現在は13歳と定められている「性交同意年齢」の引き上げも焦点となる。このほか、性的な容姿を相手の同意なく撮影したり、画像を提供したりする行為や、性的行為を目的として子供を巧みに手なずける行為を処罰する罪を新設すべきかについても判断されるという。  上川法相は会見で「性犯罪の被害は非常に深刻で、根深い。被害に遭われた方々に、長期にわたって傷痕を残す。性犯罪の実態をしっかりと把握し、これに即した施策のあり方を検討することが重要だ」と述べた。  刑法の性犯罪規定は2017年に厳罰化された。改正刑法は付則で施行3年後をめどに見直しを検討するとしており、法務省の「性犯罪に関する刑事法検討会」が20年6月から議論をスタート。21年5月に報告書を取りまとめていた。

 

【山本将克