天龍(銀座1丁目)や登龍(麻布十番)よりおいしいのか?
疑問、ギモン、ぎもん?
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一度はのれんをくぐりたい老舗餃子店はこの3軒!
- 文:上島寿子
- 写真:大河内禎
2. 餃子荘ムロ/高田馬場
皮と餡がひとつになり、五香粉がふわっと香る。

開店から61年を数えるこの店の餃子は、五香粉がふわっと香るまろやかな口当たり。手づくりの皮が餡とひとつになって、しゅわ〜と溶けていく。
その繊細な味わいを活かしつつ、インパクトをつけたのが、ニンニク、チーズ、カレー、紅という4つのフレーバーだ。ニンニクとチーズは小さな角切りがそのままコロンと入り、カレーはパウダーを餡の中に忍ばせる。紅は油で練った唐辛子粉入り。もっと辛くとオーダーを受けたら、青唐辛子を入れることもできるというから、その衝撃度はいかばかりか。
「開店当時はニンニクとチーズだけで、バリエーションを増やしたのは私。注文によって中身を変えるから、その都度、包まないとならないんです」
こう話す岩室捷士さんは、創業者の次男。現在は長女の純子さんとともに、親族4人体制で切り盛りしている。
開店当時の店は、高田馬場駅前の繁華街にあったそうだ。
「その頃は、餃子以外にもハンバーグやボルシチのようなロシア料理も出していたようです。父は海軍の軍楽隊にいて、戦後、米軍相手にバンドを手配する仕事をしていた。音楽が本業だったので、私も生まれた時からずっとジャズが流れる中で育ったんです」
いまも営業中に店内を満たすのはジャズのリズム。それもまた、変わらないこの店の“味”だ。



餃子荘ムロ
住所:東京都新宿区高田馬場1-33-2
TEL:03-3209-1856
営業時間:17時〜21時30分L.O.
定休日:日
gyouzasou-muro.com/
※営業日時・内容などが変更となる場合があります。事前に確認をお薦めします。
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3. 亀戸餃子 本店
創業以来、61年間焼き餃子ひと筋を貫く亀戸名物。

ガラガラ〜と引き戸を開けると、いきなり現れる餃子の焼き台。もうもうと立ち上がる湯気の中から、次々と焼き立てを載せた皿が繰り出される。
客席は奥に向かって二列に延び、かたわらには4卓の小上がり席。7年前に改装したが、配置はすべて以前のまま。昭和の空気を感じるのはそのためだ。
メニューもしかりで、1955年の開店以来、焼き餃子ひと筋。水餃子やシュウマイの類はない。もっと言うなら、ビールや老酒はあれど白飯はない。
「店を始めたうちの親父は頑固でね。餃子はライスと同じだ。ライスにライスはいらねぇだろって」
とは二代目の店主、石井清さんの弁。
注文はひとり2皿からと決まっていて、食べたい皿数を伝えるだけ。石井さんによれば、いままでの最高記録は女性客が打ち立てた30皿。そんなに食べられるのかと思うかもしれないが、ここの餃子はあっさり軽い。野菜たっぷりの餡が薄い皮に包まれて、するすると胃に収まってしまう。ニンニクの利かせ方もほどよいから、もたれることもなし。気がつけば皿のタワーができていた、なんてことも十分あり得る。
食事として、おやつ代わりに、仲間とわいわい飲みながら、飲み会前の0次会に。そんなお客で、いつも店内は満員御礼。のれんを上げると売り切れるまで客足は絶えない、餃子を愛する人のホームタウンだ。



亀戸餃子 本店
住所:東京都江東区亀戸5-3-4
TEL:03-3681-8854
営業時間:11時~18時30分(売り切れ次第終了)
定休日:無休
※営業日時・内容などが変更となる場合があります。事前に確認をお薦めします。
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4. 大陸/新宿
歯切れのよい優しい後味に、箸が止まりません。

円くサークル形に並ぶ餃子といえば、浜松餃子か福島の円盤餃子か。だが、東京にもあったのだ。63年も前から、ここ新宿の「大陸」に。
「円く並べるのは、創業者の祖父から伝えられた焼き方。中国に住んでいた頃に餃子を習って、新宿駅の南口近辺に最初の店を開いたそうです」
三代目の佐々木新八さんはそう話す。餃子の味も当時と同じ。豚挽き肉とキャベツを主体に、香り付けに鶏挽き肉を少々。1日寝かせたら、自家製の薄い皮で包む。ひと口で食べられるようにと、やや小さめの親指サイズだ。
「中国では餃子は縁起もの。祖父は噛み切るのを嫌がったと聞いています」
焼き方も祖父から伝承。厚手のフライパンで軽く焼いたら、餃子が頭まで浸かるほどの湯を加える。蒸し焼きというより茹でるのに近い。頃合いをみて、フライパンごとザーッと流して湯切りをした後、多めの油を加えてこんがり焼けば出来上がりだ。
サクッと歯切れのいい餃子は、ほっと安らぐ懐かしい味わい。後味も優しく、1個また1個と箸が止まらない。
メニューを見れば、水餃子や蒸し餃子など充実のラインアップ。なかでも近頃、支持者を増やしているのが、特選焼き餃子だ。餡に加えた干しエビの風味が鮮烈に広がり、皮も厚めでもっちり艶めかしい。昔ながらの味と食べ比べできるのがうれしい。



大陸
東京都新宿区歌舞伎町1-6-3 石塚ビル4F
TEL:03-3209-4601
営業時間:16時~22時15分L.O.
定休日:無休
www.gyoza-tairiku.co.jp
※営業日時・内容などが変更となる場合があります。事前に確認をお薦めします
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一度はのれんをくぐりたい老舗餃子店はこの4軒!
- 文:上島寿子
- 写真:大河内禎
1. 東京餃子樓 三軒茶屋本店
出しゃばらない、ご飯のおかずの名脇役

「ご飯に合う日本の餃子」をコンセプトに、約20年前に開店。地元の三軒茶屋はもとより東京中の餃子好きたちに支持されている、餃子専門店の先駆け的な存在だ。
なるほど、小さめのサイズとパリッと焼き上がる薄めの皮、そして、特別な主張をしない餡の定番的な味わい。さらには、1人前6個¥290というリーズナブルな価格も、まさしくご飯のおかずに徹する名脇役といったところだ。また、ニラとニンニクのありなしも選べるため、ランチであれ気兼ねなく食べることができる。
土谷政史マネージャーは「当たり前の食材を使い、製法にもこだわりはない」と語るが、さらに聞けば「新鮮な素材を使うことはもちろん、野菜は“2度切り”という歯ざわりのいいカットを。また、焼き方も店舗や調理人で大きな差が出ないよう指導は徹底します」とこともなげにさらり。加えて、備え付けの自家製ラー油も独自の製法で、より唐辛子の風味を高めるなど、実のところ仕込みや調理の随所にはこだわりが宿っているのだ。
しかしそれをこだわりではなく、スタッフ全員が当たり前のこととして一品一品にていねいな仕事を心がける。その真摯なスタンスがブレのない安定の味わいを生み、永きにわたり愛され続けるゆえんなのだろう。

東京餃子樓 三軒茶屋本店
住所:東京都世田谷区太子堂4-4-2 ラウスパレス三軒茶屋
TEL:080-5433-2451
営業時間:11時30分〜深夜3時30分L.O.
定休日:無休
www.puzzle-fs.co.jp
※営業日時・内容などが変更となる場合があります。事前に確認をお薦めします。
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2. ヤンヤン/東銀座
お腹がいっぱいになる、ビッグサイズなお袋の味。

リズミカルに打っては延ばす、中国北部に伝わる手延べ麺。製造の様子を店頭で見ることができる、銀座の有名中華料理店がこちら。職人技で打たれた麺料理の人気の高さはもちろんのこと、多彩なメニューにあってファンの多くがオーダーするのが「焼き餃子」であるという。
驚くのはそのサイズだ。通常、7〜8㎝もあれば大きいと感じるが、こちらの餃子はなんと11㎝をゆうに超える大きさ。そのインパクトには、初めてオーダーする客の大半が驚くという。加えて、価格は5個入りの1人前で¥550とリーズナブル。それを問うと、女将の相原さんは「日本に来て驚いたのが、ご飯のおかずに餃子が食べられていたこと。中国ではあくまで主食ですから。だからこれくらいの大きさは当たり前なんです。それに、お腹いっぱい食べてほしいじゃない」と、笑う。
相原さんは「特別なことはなにも。ごく普通の餃子よ」と謙遜するが、その実、銀座という土地柄を考慮しニンニクとニラは控えめに。ショウガを多く入れることでさっぱりと食べられるようにしているという。
確かに、皮も厚すぎることはなく餡とのバランスも理想的で、脂っぽさやしつこさは感じない。中国版お袋の味ともいうべき、ほのぼのとした味わいだ。

ヤンヤン
住所:東京都中央区銀座4-10-12サマリヤビル1・2F
TEL:03-3542-8989
営業時間:10時〜23時L.O.
定休日:年末年始
※営業日時・内容などが変更となる場合があります。事前に確認をお薦めします。
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3. 九州藩 渋谷宇田川店/渋谷
アツアツなのが嬉しい鉄鍋焼きは、屋台ならではの知恵。

栄枯盛衰の激しい渋谷にあって、43年の歴史をもつ老舗の九州料理店。九州全土の美味いものを扱うが、常に上位人気を誇るのが、この鉄鍋餃子である。
鉄鍋餃子は、30年ほど前に博多・中洲の屋台で生まれた酒の肴がそのルーツ。ひと口で食べられるサイズ感や、冬の屋外でも冷めづらいよう鉄鍋での提供など、屋台ならではのスタイルもユニークな博多っ子のソウルフードだ。九州藩では餡はもちろん、皮も手づくり。しかも、より新鮮な状態で提供したいとの思いから、オーダー後に餡を皮に包み焼く。提供には20分程度かかるため、最初のオーダーから注文するのが得策だろう。
鉄鍋により弱火でじっくりと焼き上げられた餃子は、皮表面はパリパリながら、餡は使用する豚バラ肉の旨味が広がるしっとりした口当たり。1台20個と数は多いが、親指大のサイズとカツオ出汁のさっぱりしたタレにより、いくらでも食べることができてしまう。また、タレとともに出される自作の赤柚子胡椒を合わせれば、爽やかなピリ辛風味が加わり、さらに箸が進むのだ。

九州藩 渋谷宇多川店
住所:東京都渋谷区宇田川町17-2 伸工ビルB1F
TEL:03-3463-0442
営業時間:16時30分〜25時30分L.O.(月〜土) 16時30分〜23時L.O.(日、祝)
定休日:無休
www.kyushuhan.com
※営業日時・内容などが変更となる場合があります。事前に確認をお薦めします。
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4. パオ 愛宕店/虎ノ門
絶妙な皮と黒コショウが生む、旨味の極み餃子。

店名になっているパオの語源は、「包君満意」から。訳するならば「この包みはあなたの満足を保証する」。この言葉だけでも、包み、つまりは餃子への意識の高さを感じさせてくれる。
具を包んでいる皮をしっかり噛みしめ味わっていると、餃子とは総合力が必要とされる一品である、と感じざるを得ない。特に注目すべき点は、皮のもとになる粉がきちんと溶けて練られているか。店主が考える皮のあり方を追求し、ようやく出合えたものなのだ。そして羽根は、その皮をつくっている専門業社が選び抜いたコーンスターチがもとになっている。ゆえに、全体のバランスが整っているという感覚だ。
餃子の餡は、台湾の胡椒餅をイメージすれば、なるほどと思う味わいだ。黒コショウが生み出す抜群のインパクトが、忘れられない印象へと変わる。この黒コショウの細かさも、計算した上でのこと。餃子とは誰もが想像しやすい味わいゆえ、実は本当に難しく、細かい分析が必要なのだと感服してしまうだろう。まずはなにもつけずに、香り方を意識した味わいをお薦めしたい。

パオ 愛宕店
住所:東京都港区西新橋2-15-12 日立愛宕別館 B1F
TEL:03-3506-8100
営業時間:11時30分~13時30分L.O.、17時~22時L.O.
定休日:日、祝
※営業日時・内容などが変更となる場合があります。事前に確認をお薦めします