量的緩和、「年内縮小」が適切 コロナ危機対応正常化へ 米FRB議長
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【ワシントン時事】
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は27日、米国債などを大量購入する量的緩和策について、景気回復が続けば「年内の縮小開始」が適切との認識を示した。
新型コロナウイルスの変異株が経済に及ぼす影響などを見極め、開始の時期を決める。 コロナ拡大を受けた異例の大規模金融緩和が近く正常化への一歩を踏み出す。危機対応の非常策が出口に向かうことで、緩和マネーの流れが変わり、日本経済にも影響しそうだ。
パウエル議長は、国際経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)でのオンライン講演で「雇用は最大化へと明確に前進した」と、景気回復の継続に自信を示した。 FRBは米国債などを月1200億ドル(約13兆円)購入し、市場への資金供給を通じて景気を支えている。雇用と物価が目標に「一段と大きく前進するまで」現行ペースで緩和を続けると約束してきたが、コロナ危機後に失業した労働者の7割強が復職。消費も戻り、インフレが加速している。
パウエル氏は、感染力の強いコロナ変異株が「短期的なリスクだ」とする一方、物価は緩和縮小の条件を満たしたと指摘。雇用も「拡大が継続するとみられる」として、近く縮小開始を判断できるという見通しを示した。 FRBが年内に開く金融政策会合は9月、11月、12月の3回。今後発表される雇用統計などを見極め、早ければ9月にも縮小開始を決める可能性がある